住職のつぼやき[管理用]

記事一覧

※画像をクリックすると拡大されます。

介護タクシーって何や?

 先日、友人の僧侶から電話があった。
「・・お寺の出前で、色んな〔福祉施設〕に行ってはるから、知ってると思って聞くねんけど、『介護タクシー』って何?・・お金はどれぐらい掛かるの?・・介護保険の適応はできるの?」と、いうような内容のものであった。
 僕も素人なので、よくわからない。
 そこで、日頃『介護タクシー』を、よく利用しておられ、要介護認定を受けておられる〔M先生〕に電話で聞いてみた。
 難しいことはよくわからないが、聞かせて頂いたことを掻い摘んで述べると・・、
 『介護タクシー』には、二種類あるそうだ。
 一つは、〔介護保険対応・介護タクシー〕。これは、《要介護》の認定を受けると、介護保険が適応できるタクシーであるそうだ。
 要介護度によって、かなり運賃が安くなるらしい。
 もう一つが、〔介護タクシー〕。これは、普通のタクシーと同じ運賃が要るそうだ。
 どちらも、予約が必要で、車椅子でも、ベットのままでも乗れる(寝台車)タクシーがあるらしい。 
 そして運転手は、ヘルパー資格を持っている運ちゃんが多いということだ。
 ちなみにM先生がいうには、自分で勝手に〔タクシー会社〕に電話せずに、近くの〔ケアプランセンター(病院や特養内で聞けばわかるらしい)〕内の《ケア・マネージャー》に一度、相談してから利用した方が、末長く(安く)利用できるので良いとの事であった。 ・・以上でございます。
 
 

幻覚に悩む奥さんの話

 《認知症》にも、さまざまな種類がある。
 大きく分けて『アルツハイマー型』と『脳血管性』の二つと言われている。(昔、特養老人施設で教えてもらった。)
 ・・が、これはひょっとすると、『レビー小体病(幻視や妄想が出る病気)』と呼ばれる(近年、注目されている)認知障害かもしれない、・・と思った今日の話。
 今朝、或る檀家さん宅へお参りに行ったら、ご主人が出てこられて、「妻(74~5歳)はまだ寝てますが、拝んでください」と言われた。
 僕は『おかしいなぁ~、いつもはキチッとされている奥さんが・・。風邪でもひかれたかな』と思いながら、お参りをさせて頂いた。
 そして、帰ろうとしたら、ご主人が「院主さん、最近、妻が〔幻覚〕を見るようになって、困ってますねん。・・昼夜も逆転してしもて、夜中ずっと起きてるんで、私がまいってます。仏壇の上に誰か居るとか、ずっと狸がいててうるさいとか・・。動作も遅いし物忘れもひどくなって・・。」と、深刻な顔で話された。
 僕は素人なので、ハッキリした事は解らないが、『それって、〔レビー小体病〕という認知症の初期症状やん』と、とっさに思った。(この疾患は、早期の正確な診断で治療効果が出ると云われている)
 僕はご主人に、「すぐに専門のお医者さんに掛かった方が良いですよ。ボケてきましたでは、手遅れになりますよ。又、今のままではご主人が倒れてしまいますよ。介護サービスを利用した方が良いですよ」とも言った。
 「はい、そうしますわ。・・でもうちの家内はプライドが高いので、診てもらうの嫌がりますやろなぁ・・」と、ご主人は言われた。
 僕は、早めに《認知症》のガイドブックをコピーして、持っていってあげようと思ったのであった。 待っててや!
 

鏡の中の私

 京都の寺院へ、〔夜間特別拝観〕に行った時の(ちっちゃな)エピソード。
 僕と妻は、早い晩御飯を食べておこうと、京都駅前に新しく出来た《イオンモール》に入った。
 そこでまず、僕はトイレに入った。
 手を洗って、出入り口から出ようとすると、僕と同じような姿形をした人間が入って来る。
 僕が右に除けようとすると、相手も右に動き、左に除けようとすると相手も左に。
 「あぁ、すみません・・。」と謝ると、向こうも謝る。
 よく見ると、(出入り口横に作られた)等身大のピカピカに磨かれた鏡であった。
 道理で同じように動くはずや。
 僕は、おかしさと共に、突然恥ずかしくなって、誰も見ていなかったかと回りを見渡したが、・・運よく誰もいなかった。
 絶対、誰かいてたら笑ったはずや!
 トイレを出てから、何か猛烈におかしくなって、一人笑っていたら、妻から「何があったか?」と尋ねられ、今起こったことを話した。
 妻は、「信じられんことするな~。ちゃんと前を見て歩きや」と、僕を叱った。
 そして、「それ、他人に見られてたら、絶対《ブログ》ネタやわ!」と、ぬかしおったので、僕は今日、先に発表してやったわい!・・あぁ、むなしい。(笑い)
 
 

「永観(えいかん)、遅し!」・・夫、騒がし、妻、恐し

ファイル 601-1.jpg〔みかえり阿弥陀〕のちらし
 今年も、京都へ『夜間寺院拝観』に行ってきた。
 今年は、大泥棒:石川五右衛門が、登って「絶景かな!絶景かな!」と叫んだといわれる『南禅寺』と、もみじの名刹『永観堂』へお参りさせて頂いた。
 『永観堂』のもみじは、まだ全部が真っ赤にはなっていなかったが、僕は《もみじ》より、闇夜にライトアップされる《みかえり阿弥陀》像が、見たかったのだ。
 この《阿弥陀》像は、名前の通り、首が横を向いておられて、真横からも拝むこともできる。
 こんな伝説がある。
 はじまり、はじまり~(紙芝居と違うっちゅうねん!)
 昔、永観(えいかん:〔ようかん〕)という、修行僧がいた。
 永観は、真夜中、本堂内を「念仏」を称えて回り続ける『行道』という修行をしていた。
 或る晩、行道中の永観は、自分の前を歩かれる一人の僧の姿に気づく。
 よく見ると、阿弥陀仏像が、自分を先導しておられたのだ。
 驚き、立ち止まった永観に、阿弥陀仏は振り向き、こう言われたという、「永観、遅し!」。
 そのお姿が、忘れられなかった永観は、実際にその時のお姿に真似た阿弥陀仏像を作られ、祀られたという。(あくまでも伝説)
ファイル 601-2.jpg〔永観堂〕たくさんの参拝者だった
 それを実際、雰囲気の出る夜分に見たかったのだ。
 僕は少し興奮していた。
 「永観遅し・・」「永観遅し・・」「永観遅し・・」「永観遅し、見たい」と、ブツブツ一人事を言い続けて並んでいたため、「お父さん、うるさい!」と、阿弥陀仏像のように妻は振り向き、「恥ずかしい!」と睨まれてしまった。
 この時の妻の顔をいつか絵にして、「父さん、恥ずかし!」という紙芝居を作ってやろう! いつか・・。

紙芝居:「極楽のはなし」 その6(最終回)

 突然、二人の目の前に来られた〔アミダ如来〕様は、こうおっしゃられた。
「おかん、宗兵衛、お前達の今言った通り、人間界にも『地獄』はある!
 お前たちは、すでに『極楽』の住人であるゆえ、《仏(ホトケ)》である。
 今から、〔シャバ〕という人間界に戻り、地獄の苦しみを味わっている者たちに、『極楽』の存在を伝えよ。
 正しく人生を生き抜き、極楽に来い!と伝えよ。
 又、仏の慈悲を・・、アミダ仏の慈悲を伝えよ。
 《仏》となっているお前たちには、それができる!
 人間界に戻り、風になっても良い、小鳥の声になっても良い、星になっても良い、冬はダイヤのように~きらめく雪になれ~。・・いかんいかん、声が段々AKIKAWA調になってきたわい。・・まぁ、どのような物に変身しても良いので、苦しむ人々、悲しむ人々に『極楽』世界の存在を伝えるのじゃ!・・さぁ、往って来い!〔おかん〕、〔宗兵衛〕!シャバへ向かって!・・シャバ・ダバダ、・・むかし、お前が人だった頃、俺は仏だった。・・そして、俺が光だった頃、お前は風になった。・・わかるかな?こんな古いギャグわかんねぇだろうな~?イェ~い。」と、アミダ仏は最後にボケをかました。
 そのお言葉を聞いて、二人はようやく顔を見合わせて、微笑んだという。最後にボケてしもた。 めでたし、めでたし。 おしまい
ファイル 600-1.jpg

紙芝居:「極楽のはなし」 その5

ファイル 599-1.jpg
 「・・おぉっ、わしらの往かんかった『地獄』とは、いったいどんな処何じゃろうのう・・?
 恐ろしいトコなんじゃろうのぅ。
 苦しいトコなんじゃろうのぅ。
 考えただけでも、身震いがするわい」と、思わず〔宗兵衛〕は手を合わせた。
 それを聞いて〔おかん〕も、
「そうですねぇ。・・私達は幸せなことに、仏様のお慈悲によって、この『極楽』に来れたのですから、ありがたいことです。ナムアミダブ、ナムアミダブ・・。」と同じように手を合わせた。
 「そういえば、わしの奈良の友人から聞いた話じゃがな、〔奈良屋:悪なんやら〕という悪徳商人がおって、一度死に掛けて『地獄』を見て来たそうじゃ。そりゃ、恐ろしげな世界じゃったそうじゃよ。・・その後、〔悪なんやら〕は、善人になって、生き仏のようになったそうじゃよ。・・まるで、毎日が『極楽』の住人のような感じで生活しておるそうじゃ。」と、〔宗兵衛〕は続けて言った。
ファイル 599-2.jpg
 こうして二人は、しばらく、自分たちが往かなかった『地獄』の世界について、想像をめぐらし、あーだこーだと、話し合った。
 それは、『奪いあう世界』でもありそうな、
『憎み合う世界』でもありそうな、
『悲しみの続く世界』でもありそうな、
『絶え間ない苦しみの続く世界』でもありそうな、・・そんな事を二人は、一生懸命に(具体的に)想像して、話し合った。
 そして、やがて〔宗兵衛〕は言った。
「おかんよ、どうやら、『地獄』は、シャバの世界、つまりわしらの『人間世界』にもあるような気がするのぉ・・。」
 それを聞いて〔おかん〕も、
「ほんに、自分たちの勝手さが作る『人間』世界そっくりのようですねぇ」と言った。
 その時だった。
 突然、アミダ如来様が二人の前までやって来られ、「そこのトコに気づけば、もうこの『極楽』での修行は終わりじゃ!」と言われた。 
 つづく(次回、最終回)

紙芝居:「極楽のはなし」 その4

 〔おかん〕が極楽に来て、二十年が経った。
 あいかわらず、極楽は平和な時間が流れていた。
 〔おかん〕は、又フッと、横に居る夫に言ってしまった。
「お前さま、いったいいつまで、ここに居るんじゃろう?・・いつになったら、別の世界に往けるんじゃろう?」と。
 それを聞いて、夫〔宗兵衛〕はムッとして、
「くどい!いつまでも、いつまでもじゃ!」と答えた。
 叱られたと思った〔おかん〕は、しょげて、そのまま黙ってしまった。
 ・・が、ふと〔おかん〕の脳裏には、一つの疑問が浮かび、思い切って夫に聞いてみた。
ファイル 598-1.jpg
 「ねぇお前さま、・・『地獄』ってどんな所なんでしょうか?」と。
 その時初めて、〔宗兵衛〕の顔の表情が、ピクピクッと動いた。 つづく
 

紙芝居:「極楽のはなし」 その3

 ・・やがて、〔おかん〕はしゃべる話題が無くなると、初めて回りの世界を見るゆとりができた。
 空からは美しい音色が聞こえ、暑さ寒さも感じない・・。
 百八つの煩悩も消え、〔おかん〕の心は澄み切っていた。
ファイル 597-1.jpg
 やがて、五年の歳月が流れようとしていた。
 相変わらず『極楽』は、同じような毎日であった。
 苦しみも無く、悲しみも無く、風も吹かず雨も降らなかった。
 二人はずっと、仏様の前でお説教を聴き続けた。
 ふと、〔おかん〕は横に居る夫に聞いてみた。
 「お前さま、いったいいつまでここに居るんじゃろう?」と。
 すると〔宗兵衛〕は、「いつまでも、いつまでもじゃ・・。それは、仏さまがお決めになる事じゃ。」と答えた。
 そして、又五年が過ぎようとしていた。
ファイル 597-2.jpg
 あいかわらず、極楽では平和な時間が流れていた。
 〔おかん〕は、極楽での生活を心から楽しんでいたが、又、ふと隣に居る夫に尋ねてみた。
 「お前さま、いったいいつまでここに居るのじゃろう?」と。
 すると〔宗兵衛〕は、「いつまでも、いつまでもじゃ」と答えた。
 〔おかん〕はそれを聞いて、「そんな、いつまでもって事ないと思いますよ・・。きっといつか、違う世界に往けると思いますよ」と反論した。
 〔宗兵衛〕は苦笑して、「極楽より、他に往く処があるかい!」と言ったまま、黙ってしまった。
 それを聞いて〔おかん〕は、『そういえば、お寺さんは「極楽以上の世界はない!」と、いつも言っておられたなぁ・・』と思った。
 そして、又十年が経とうとしていた。

紙芝居:「極楽のはなし」 その2

ファイル 596-1.jpg
〔おかん〕は、きっとこの門は「極楽」への入り口だと思い、急いで門の前まで進んだ。
 すると不思議なことに、その門はギギッーと音をたてて、八の字に開いた。 
ファイル 596-2.jpg
 なんと、その門の中の有様は、〔お経〕様に書かれてあった通りであった。
 目の前に広がる光景は〔七つの宝の池〕、〔金銀でできた楼閣〕、〔宝石でできた宝の木〕、空には色あでやかな鳥が舞い、天女が飛び、・・それらを見た〔おかん〕は、ただ「あぁっ、ありがたいこっちゃ。ナムアミダブ、ナムアミダブ・・。」と感激の言葉しか出なかった。
 すると、その声に応じたかのように突然・・、 
ファイル 596-3.jpg
 アミダ如来様が〔おかん〕の前まで来られ、その手を取って、十年前に死んだ夫〔宗兵衛〕の座る《ハスの台》まで導いた。
「あぁっ、お前さまー。」
 おかんは、絶えて久しい夫の姿を見ると、「わっ」と、嬉し泣きに縋りついた。
ファイル 596-4.jpg
 〔おかん〕は落ち着くと、夫に死に別れてからの話を一部始終しゃべった。
 息子が頑張って、店を大きくしたこと。
 嫁が、自分を大切にしてくれたこと。
 孫が、可愛くて可愛くて、たまらなかったこと。
 おかんは、シャバ世界であった事を、何日も何日も夫にしゃべった。 つづく

紙芝居:「極楽のはなし」 その1

 昔むかしのお話・・。
 京の都に大きな〔染物問屋〕が一件あった。
 そこの主を「近江屋:宗兵衛」といい、妻を「おかん」といった。
 二人は共に信心深く、人に親切であった。
 そんな夫、宗兵衛も十年ほど前に大往生で亡くなり、今、妻のおかんも臨終の時を向かえようとしていた。
ファイル 595-1.jpg
 「おバァちゃん、死なないで~」と、孫娘は枕元で叫んだ。
 その声に薄目を開けた〔おかん〕は、
「おぅおぅ、ありがとなぁ~。・・皆にこのように囲まれて、往生できるとは、ほんに私は幸せもんじゃ・・。
 実は、私はあちらの世界に往くのが楽しみなんよ。
 先に死んだおじいさんにも、逢えるしのぉ・・。
 ほんじゃ、みんな、おさらばじゃ。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏・・。」
 それだけ言うと、〔おかん〕の意識は段々と薄れていった。
ファイル 595-2.jpg
 気がつけば、おかんは暗闇の道をまっすぐ歩いていた。
 足元には、ほのかな灯りが瞬き、往く道を照らした。
 おかんは、この道が〔冥土〕への道であることに気がついた。
 しかし、はたしてこの道の終点が、〔極楽〕なのか〔地獄〕なのか、それが少し気がかりではあった。
 ・・・が、アミダ如来様の救いを信じきっていた〔おかん〕は、ただ口に「南無阿弥陀仏、ナムアミダブツ・・」と、繰り返し繰り返し、称えて進んだのであった。
 こうして、おかんは念仏を称えている間に、いつの間にか〔三途の川〕も〔死出の山〕も、一足飛びに飛び越えてしまっていたのであった。
 どれぐらい歩いたであろう・・。
ファイル 595-3.jpg
 突然、おかんの目の前に大きな門が現れた。  つづく

上に戻る