住職のつぼやき

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紙芝居:「出家とその弟子(第二部 唯円房の恋)」 その4

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(老僧)「お聖人さま、かくかくしかじか・・でございます。
 私はお寺の為、仏法の為と思い、唯円を諭しました。
 が、言う事を聞きません。・・残念ではごさいますが、お暇(イトマ)を頂きとうございます。」

(親鸞)「・・私が悪いのだよ。許しておくれ。
 唯円がしきりに、『恋をしても良いか?』と聞いてきたのに、私は良いとも、悪いとも、言わなかった。
 そして『恋をするなら一筋にやれ』とも言ってしまった。
 ・・私の責任だ。」

(老僧)「お聖人さま、お考え過ぎでございます。
 お聖人は、恋する事を禁じなかっただけでございます。
 唯円は、自分勝手な解釈で、遊女と隠れ遊びをしていたのですよ。」

(親鸞)「いや、唯円には唯円の何か言い分があるのだろうて・・。あれはまじめな男だからな・・。
 お前達、どうか唯円を許し、お寺に残ってくれないか?」

(老僧)「しかしながら、私等はあの唯円とともに、この一つのお寺に棲む事を〔恥〕だと考えております。」
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(親鸞)「つまり、唯円は『悪人』だから許せんというのであろう。
(老僧)「・・・・。」

(親鸞)「・・さて、わしはお前達とともに長い歳月を過してきた。
 このお寺も、お前たちと一緒に『棟上』をした。
 あの時、わしはお前達とともに、五つの『綱領』を定めた。
 一番目は何であったかな?」 (注意: 実際にはこのような『綱領』はありません。)

(老僧)「はい。『私たちは悪しき人間である』・・でございました。」

(親鸞)「・・では二番目は?」

(老僧)「はい。『他人の悪を裁かぬ』でございます。」

(親鸞)「この『綱領』で、今回の事も決めておくれ。
 ちょうど私たちが、《自分たちの悪を仏様に許して頂いているように》、私たちも、唯円を裁かず、許さねばならない。
 お前達は唯円を憎んだ。
 その時、お前達はこの『綱領』に背いたのだよ。
 ・・・許しておやり。
 向こうの善悪を裁くな。
 そして、ただ『南無阿弥陀仏』と、仏様に許され生かされている事を感謝して、お念仏を申せよ。」

(老僧)「・・しかし、それは随分、難しゅうございます。」

(親鸞)「難しいが、一番尊いことだ。一番賢いことだ。」

(老僧)「・・・。 はい、やはり考えてみれば、我々が間違えておりました。 お聖人のおっしゃる通りでございます。
 唯円殿が、どのようにあろうと、私たちは許すのが本当でございました。」
(他の弟子)「はい、私たちも許します。(・・あぁっ、やっとセリフがありました。超うれしいっす。)」

(親鸞)「それを聞いて安心した。
 ・・そうとも、そうとも。人の心に浄土の面影があるなら、それはまさしく『許した時』の心の姿じゃ。・・○○合衆国大統領にも云わんといかんのぉ。
 さぁ、みんな、ここに唯円をつれて来ておくれ。
 わしは、二人で唯円と話したい。」

 つづく。 いよいよ次回、第二部の最終回。

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