住職のつぼやき

記事一覧

※画像をクリックすると拡大されます。

映画「エンディングノート」を見て

ファイル 770-1.jpg

 日本映画「エンディングノート」(砂田麻美監督)を見てきた。
 新聞広告を見たら、わずか一週間だけのロードショーみたいだったので、急いで見て来た。

 ストーリーは、熱血サラリーマンだった主人公(砂田知昭氏〔実名〕=69才)が、会社を退職し、第二の人生を歩み始めた時、末期の胃ガンが発見され、余命半年を宣告される。
 その時、主人公は、残される家族の為、そして自分の人生の総括の為に「自分の死の段取り=エンディングノート」を作成し始める。
 そんな姿を、実の娘で(この映画の監督でもある)麻美さんが、カメラで(臨終の時まで)、時に可笑しく、時に悲しく、日常を追うという(ある意味凄みのある)ドキュメンタリー映画である。
 
 僕が気になったのは、主人公が俄かクリスチャンになって、教会でお葬式をして欲しいというシーンで、「どうしてクリスチャンになったの?」と監督(=娘さん)が聞くと、「(別にキリスト教に救いを求めた訳では無く)教会がキレイで気に入ったのと、キリスト教のお葬式の値段がリーズナブルだったから」という場面である。(ただし、主人公はカメラに向かって「ここは撮影を止めてね」と言っているのだが、監督は回し続けた・・。)
 ここは、我々仏教者に対する痛烈な皮肉である。(坊さん(お寺)の葬式は、値段が高いというのが世間の常識になっているのか?・・トホホホッ。)
 この映画、妻と娘と一緒に見たのであるが、妻も「そら、神父さんは、お葬式でお金をぼったくるというイメージは無いはなぁ。」と後で言ったので、僕にはダブルパンチであった。(言っときますが、観念寺はリーズナブルですよ。(笑い))
 長くなったがもう一つ。ラスト近くで意識が薄れてゆく主人公の父が、病院のベットで「これからいいところへ行く」と、ポロリというシーンがある。それに対して集まった家族は「それはどんな所なの?」と問うと、「それはちょっと、教えられない」と言って、家族みんなを笑わせる。
 またラストのシーン。・・教会でお葬式が終った後、霊柩車は斎場に向かって出発する。その時、娘がナレーションとして「それで今、どこにいるの?」と聞くと、父に変わって又、娘(=監督)が「それはちょっと、教えられない。」というシーンで終っている。
 この場面、実に感動的なラストシーンだったのであるが、僕の娘は気に入らなかったらしい。
 娘はムッとして言っていた、「俄かでも、クリスチャンになったんやったら『今、すばらしい天国にいます』とか言わんかいな。」と・・。
 『そやなぁ・・』と思わず僕も思ったが、でも、僕も最後の時を迎えたら同じ事を言うかも・・『今から極楽浄土に往きます。それで極楽浄土ってどんな所かって?・・それはちょっと教えられない』と。
 

上に戻る