僕が脳内出血で倒れて、最初に運ばれた病院での事。
手術も終わり、約三週間が経った頃、僕は六人部屋に移された。
もう、そこはぎっしり詰まった部屋で、隣のとなりの人のいびきまでが聞こえる窮屈な部屋であった。
僕はそこで、みんなから『嫌われる患者』と『好かれる患者』の違いを学んだ。
僕の隣が『嫌われる病人』であり、前が『好かれる病人』であった。
嫌われる病人とは・・、看護師の一言一言に「だけどな・・」と、いちいち逆らいつっかかり、そして、医師にはへりくだり、お見舞い家族には、文句ばかり言って、せっかく来てくださっている家族を怒らせ話している途中に帰られてしまう患者の事である。
僕は横で聞いていてへどが出そうであった。(文句をいわれている新人のような看護師さんが、かわいそうで、かわいそうで、泣きそうになり何度も体を硬直されて震えておられたな・・。僕も関係ないけど、看護師さんについ味方をして慰めたわ)
好かれる病人とは・・、何を言われても「あっありがとうございます」と看護師にも、掃除婦さんにも感謝する患者である。
気の毒なほどに、点滴の注射がへたな看護師さんにも「ええよ、ええよ、ありがとう」と、感謝しておられた。
一度、この二人がほとんど同時に⁈、ナースコールをしたことがあった。
「嫌われ患者」の方が、ボタンを押すのが少し早かったと思われるが、断然「ありがとう患者」の方に先に看護師さんが来られた。そして、丁寧に対処しておらた。
そして、ずいぶん「嫌われ患者」が遅くなり、ブツブツ言っておられたけど、看護師さんは、自由に動けるんやもん、サッとごまかして逃げたなぁ。
そら、看護師さんも人間やもん、感謝してくれる人間の方を選ぶわなぁ・・。
単純なことやけど、大事なことやったな。合掌