この作品も、[リハビリ病院]に入院中に完成させたものだ。
・・なんだかこの作品を描いていて、主人公と自分自身が重なってしまい、切なくなってしまったのを覚えている。
それでは、「入院三部作」[第二段]のはじまり、はじまり~。
『迦陵頻伽(かりょうびんが)』という名前で、知られている[極楽]の鳥を、皆さんはご存じですか?
この鳥、正式には、古代インド語で「カラヴィンカ」と呼ばれています。
上半身が「人間」の姿。そして、下半身が「鳥」の姿をしたカラヴィンカ。
それでは、今も美しい声で、極楽を飛び回っているという、この鳥のお話を聞いていただきましょう。
昔むかしの大昔。
雪深いヒマラヤの森の中に、一つの大きなタマゴがありました。
このタマゴ、まだ孵化していないのに、中からきれいな歌声が聞こえて来ておりました。
そのあまりの不思議なことに、森の動物たちが、みんな集まって来たのでした。
(おさる)「これは、どういう事だろう?
中からどんな生き物が生まれてくるんだろう⁈
・・鳥かな?・・いや人間の歌声のようにも聞こえるな?」
その時です!
タマゴがパリパリッと割れて・・、
(カラヴィンカ)「みなさーんっ!こんにちはー!・・私、カラビィンカ!
歌うのが大好きな[鳥人間]でーーす!
もう、外に出るのがまちきれなくて・・、うずうずして、タマゴの中でも唄っていたのよ!」と、カラヴィンカが飛び出てきました。
それを見て、一匹のうさぎが、
(うさぎ)「君はどうして、そんな身体をしているんだい?」と聞きました。
するとカラヴィンカは、
(カラヴィンカ)「そんなこと知らなーーい!・・きっと唄うのが大好きなので、いろんな所へ歌を届けるために、鳥の羽があるんだと思うわ!」と、カラカラカラと笑いました。
つづく
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