住職のつぼやき[管理用]

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紙芝居:「唯円房の歎き~『歎異抄』かく語りき~」 その8

 又ある時、お聖人様は、私(唯円)がびっくり!するような事をおっしゃいました。
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(親鸞聖人)「唯円、お前は私の言う事を信じるか?」
(唯円)「はい、もちろんでございます。」
(親鸞聖人)「そうか。では、私が今から言う事に決して背かぬか!?」
(唯円)「はい。」
(親鸞聖人)「では、今から町に行って、人を〔一千人〕殺して来ておくれ。 そうすれば、お前は必ず〔極楽浄土〕へ『往生』できる! さぁ、殺って来い!」・・と、おっしゃられたのです。
 「ヒェーッ!」と、私はもうびっくりして、
(唯円)「・・いっいかに〔お聖人〕の仰せとはいえ、私のような人間は〔一千人〕はおろか、〔一人〕だって殺すことはできません!」と、言いました。
(親鸞聖人)「ワッハッハッハッ、唯円、びっくりしたか!?・・すまん、すまん。・・だがな、では、どうして先に『ワシに背かぬ』と言ったのか?」
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(親鸞聖人)「これで解ったであろう・・。
 すべての事が《自分の思い通りになる》と思うなら、『往生』の為と云って、人を何千人でも殺す事ができよう。
 しかし、たった一人を殺すだけの《宿業(シュクゴウ)》も、備わっていないからこそ、お前には無理なのだ!
(注:《宿業》とは、「過去世に造った善悪の業のこと。これは過去世になした行為が原因となって、今生の在り方が規定されるという考え方にもとづいている。『浄土真宗聖典(注釈版)』より)
 自分の心が《善》だから、殺さぬのではない。
 又、『殺すまい!』と思っていても、百人、千人と殺してしまう事もあるのじゃよ。
 我々の心が良ければ《善》、悪ければ《悪》、と思って、〔阿弥陀仏〕の『願い』の不思議さに、助けられている事に気づかずにいる。・・それが良くないというのじゃ。」と、おっしゃられました。
 つづく (次回、最終回じゃ・・)

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