住職のつぼやき[管理用]

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病院を「恨むな、憎むな、許しましょう」

 今日、《お葬式》を一つ執り行った。
亡くなられたのは75才の男性で、その奥さんが喪主をされた。
死因は〔多臓器不全〕、そしてその原因は〔敗血症〕。そしてその又原因は〔重症肺炎〕であった。(見せて頂いた《死亡診断書》にはその様に書いてあった。)
 喪主をされた奥さんは、僕にこの《死亡診断書》を書いた病院の悪口をさんざん述べられた。
 「最初の手術の後も、何一つお医者さんからの術後説明がなかった。主人はその後、ほったらかしにされ見る見る内に悪くなっていった。もし、違う病院を選んだとしたら・・、こんな目にはあわなかったと思います!今もこの病院が憎いのです・・」と。
 人が亡くなると、虚しさや悲しさの他に《怒り》の気持ちが沸いてきて、その《矛先》をどこかに向けたくなる・・ことがある。
それによって、自分の気持ちを落ち着かせようとするのだ。その方が楽だからと思う。(たぶんに、それは僕の場合であるが・・)
 その気持ちはよくわかるのだが、怒っている内に周りを巻き込み膨れあがって、収拾がつかなくなってしまう事もある。
 僕は〔お通夜〕の後、よく「恨まない様に周りを許しましょう。頑張って許しましょう。故人の為にも許しましょう。自分の為に許しましょう」と怒っておられる家族によく「許しましょう」を連発してお話する。
 僕が言ってもどうにもならないとは思う。・・が、遺族さんの気持ちが救われる事を願いながら、今日も言い続けた。
 「気持ちのワカラン、うっとうしい坊主や!」と言われても良い。僕は「恨むな、恨むな、許しましょう」を言い続ける。
 それはたぶん、自分自身に向かっても言い聞かせているのだろう・・と思う。
 

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