いつも『紙芝居』の主人公の顔はどんな風にしようかと色々と悩む・・。
今回のこのお話の主人公〔ニーチ〕は、《ミスター・スポック》と《ウッチャン・ナンチャン》の〔ナンチャン〕の顔を合体させて作らせて頂いた。〔笑〕
ただのインスピレーションで決めたのであって何の根拠もありません。・・以上、余談。・・では続きをお楽しみ下さい。
『本当の香り』〔後編〕
ある日、〔ニーチ〕の町に〔お釈迦さま〕一行がやって来られました。
人々は皆そろって〔お釈迦さま〕のお話を聴きに行きました。
実は〔ニーチ〕も行きたかったのですが、「僕の臭いがきっと皆の邪魔になる」と思って行きませんでした。
そんなある日の事、〔ニーチ〕が《肥》を担いで町の路地を歩いていると、向こうから《托鉢》の一行がやって来ました。
その中のお一人が〔お釈迦さま〕である事はすぐに分りました。
「何という尊いお姿なんだろう・・」と〔ニーチ〕は心を打たれましたが、我に返って急いで横道へ折れました。
お顔を拝めた喜びをかみ締めながら歩いていると、又前方から〔お釈迦さま〕一行が歩いて来られます。
〔ニーチ〕は又急いで道を折れました。・・が、この日は避けても避けても、何度も出逢ってしまうのでした。(こんな事ってたまにあるよなぁ・・)
慌てた〔ニーチ〕は、何度目かの出逢いの時、誤ってころんでしまい、《肥》を道にこぼしてしまいました。
〔お釈迦さま〕一行は、すぐ目の前まで来られています。
「ああ・・、大変だー!どうしよう・・。お釈迦さまの通られる道が汚れてしまった!」
その時、困り果ててる〔ニーチ〕に、〔お釈迦さま〕は近づき、その肩にそっと手を置いて言われました。
「避けることはないのだよ、〔ニーチ〕。君のことは皆から聞いて知っているよ。
君は私たちと同じ《衣》を着ているではないか。人の嫌う仕事にいそしむ心。それが君の《本当の香り》なのだよ」と・・。
〔ニーチ〕は喜びに震える手を合わせると、〔お釈迦さま〕のお姿に、野原で出逢った老人が重なって見えたのでした。・・おしまい。
『生まれによって〔賤しい者〕になるのでもなく、〔バラモン(当時のいっちゃん上の階級)〕になるのでもない。《行為》によって〔賤しい者〕にも〔バラモン〕にもなるのである』《法句経》より