特別養護老人ホーム内で、おととい驚いたことがあった。
それは、おやつの時間に起こった。
その日、いつものように(苑内で)お話をしていると、おやつに「お饅頭」が出た。
僕もご一緒にそのお饅頭を食べながら雑談していたら、目の前の(自称「280才」)のお婆ちゃんが突然、「ウッッ!」と言って、目をむいて後ろにそっくり返った。
お饅頭が喉に詰まったのだ。
でも、お饅頭自体は、小さく小さく(一センチほどに)刻まれているので、とても喉に詰まるような大きさではない。
でもお年寄りには、その大きさでも危ないのだ。(粉もあかんかったのかな?)
慌てて、隣の職員さんが、喉に手をつっ込んで吐き出させようとしたが、中々その饅頭の破片は出てこない。
背中を叩いたり、又、水を(少量)口から流し込むと、ようやくそのお婆ちゃんは「フゥ~」と言って、元に戻った。
びっくりしたわ。ほんまに。
目にたまった涙を、職員さんにティシュで拭いてもらいながら、「死ぬかと思った」と笑いながら言われたこのお婆ちゃん。
いつも「早よ、死にたい・・」と言っているお婆ちゃんも、いざ死にそうになったら、自然と生きようともがくものなのだ。
それが人間だ。
「孤独の心の叫び」にいかに答えていくかが、『お寺の出前』の使命でもあると改めて認識した。
「お婆ちゃん、300才までもうちょっとやから、頑張って生きてくださいや」と言って、僕は施設を後にした。
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