住職のつぼやき[管理用]

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言うべきか?言わざるべきか・・?

 お彼岸のお参りが続いている。
 お彼岸の時だけ、『読経』を頼んでこられる檀家さんがあって、一年の内、春と秋の二回しかお会いしない。
 それで、そのお参りの時のご挨拶が「お変わりございませんか?」で始まり、たいていは「はい、元気でやっております」と返事が返ってきて、『読経』が始まる。
 ・・が、しかし、今日は違った。
 「お変わりございませんか?」とお聞きすると、そこの奥さんが「ええ、ちょっと色々ありまして・・。」とおっしゃり、ご主人と顔を合わせられた。
「どうされましたか?」とお聞きすると、奥さんのお兄さん(75才)が危篤だということだった。
 病名は癌で、今、病院で身体中、〔チューブ〕状態らしい。
 それで、相談を受けた。
 奥さんには、まだこの危篤の兄以外、四人〔兄弟姉妹〕がおられるそうなのだが、この《状態》を知っているのは、その内〔弟・妹〕だけらしい。
 後の〔兄と姉〕は知らないとのことである。
 つまり〔兄・姉〕には、仲が悪くて連絡していないのだそうだ。(若い頃は皆、仲が良かったらしい・・)
 ・・が、今、危篤状態である。
 亡くなった後からだと、きっと知らされなかった兄と姉、いや、みんなが後悔するのではないか?と、先の檀家さんの〔妹夫婦〕は悩んでおられるのだ。
 「知らせたら良いじゃないか」と、簡単に僕なんか思ってしまうが、この危篤状態の兄は、「自分に何かあっても絶対に兄と姉には教えるな!」と、奥さんと子供に常日頃から、(伝言を)言っておられたらしい。
 だから、その奥さんは皆に伝えていない・・との事だ。
 ・・でも、僕は言った。
「それは守らなくても良い〔伝言〕だと思います。いや、守った方が良くない〔伝言〕だと思います。
 奥さんは旦那さんの病気の状態を見て、今、《平常心》ではなくなっているのだと思います。だから旦那さんの〔伝言〕に固執してしまっているのではないでしょうか?
 ・・後悔を後に残さない為にも、その〔伝言〕は破ってお伝えすべきだと僕は思うのですが・・。第三者が偉そうなことを言ってすみません。」と、思うことを言って、あと謝った。・・が、僕はやはり今もそう思うのだ。
 後、どうされるかは、奥さんのご親戚内で決められる事なので、僕は何もわからないが。・・又、半年後、この結果はお聞きすることができるだろう。・・が、長い半年だ。

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