住職のつぼやき[管理用]

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紙芝居:『幸福の王子』 〔前編〕

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 〔つばめ〕は、暖かい国に行く途中でした。
 「今日はここで泊まるとしよう・・」と、〔つばめ〕は〔王子〕の両足の間に静かにおりて、翼を休めました。
 するとポツーリ、ポツリと水滴が落ちてきました。
 「あれ、雨かな?」と〔つばめ〕が上を見ると、なんとそれは〔王子〕の目から溢れ出た涙だったのです。
 「あなたはいったい誰ですか?」と〔つばめ〕が聞くと、「私は『幸福の王子』だよ」と答えが返ってきました。
 「幸福の王子ですって!?・・それなら、どうしてそんなに泣くのですか?」と〔つばめ〕が不思議そうに聞くと、〔王子〕はこんな話を始めました。
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「私はまだ生きていた頃、《涙》とはどういうものか知らなかった。宮殿に暮らしていた頃は、毎日が楽しく踊って暮らしていたのだ。宮殿の周りは高い塀がめぐらされ、外の世界がどうなっているのか考えて見たこともなかった。
 それ程私のまわりは美しいものばかりだった。(おシャカ様の青春時代と一緒や・・)
 確かに私は幸福に暮らし、幸福に死んだ。
 ところが、町の人々が、そんな私をこんな高い所へ立てたのだ。
 その為、私は町中の悲しみが、何もかも見えるようになってしまったのだ。こうなってはいくら私の心臓が鉛であっても泣かずにはいられないじゃないか・・」
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「つばめよ、つばめ。小さなつばめ。あの家を見てごらん。子供が病気だというのに、薬を買うお金もないのだ。・・どうか使いを頼まれてはくれないか?私の剣から〔ルビー〕を取ってあの家に持って行っておくれ」と〔王子〕は言いました。
 その〔王子〕の優しい気持ちに〔つばめ〕の心は打たれました。
 そこで〔つばめ〕は〔ルビー〕を咥えると、看病に疲れ、うとうとしている母親のそばにそっと〔ルビー〕を置いたのでした。
 目が覚めたら、どんなに母親は驚くでしょう。
 そう考えたら〔つばめ〕の体はポカポカ暖かくなってきました。
「〔王子〕さま、不思議です。どうしてこんなに寒い夜なのに体が暖かくなるのでしょうか?」と言うと、
〔王子〕は「それは君が良い事をしたからだよ」と答えました。
 つづく・・。
 
 


 
 
 

紙芝居:『幸福の王子』 〔プロローグ〕 オスカー・ワイルド原作

 この物語を初めて読んだのは、いったいいつ頃だったろうか・・?
 おそらく小学校の〔国語の教科書〕が最初だったような気がする・・。
 大人になった今、読み返してもこの物語は素晴らしい。
 僕はこの物語が大好きだ!(だから紙芝居にした!)

 ・・お城の〔外の世界〕を知らなかった王子が、知った事によって何かに取りつかれた様に自己を犠牲にしながら、人助けを始める。
 不本意ながら、それに巻き込まれていく内に、自分も王子と同じようになってしまう(・・が、後悔しない)一羽の〔つばめ〕・・。
 このお話の主人公の〔王子〕と、〔おシャカ様〕がダブってしまうのは僕だけだろうか・・?
 そしてこの〔つばめ〕って一体・・誰?
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 昔、北の国のある町に、王子の銅像が高い円柱に立っていました。
 その銅像は、体中〔金箔〕で覆われ、目には青い宝石〔サファイヤ〕、剣のつかには真っ赤な宝石〔ルビー〕が飾られ、三つとも美しく輝いていました。
 町の人々は、「本当に美しい! それに生きていた頃の〔王子様〕そっくりだ。いつも明るく《幸福》に暮らしておられたのだろうね」と言い合い、みんなこの銅像を『幸福の王子』と呼んで、自慢に思っていました。

 或る秋の終わり頃・・、そこに一羽の〔つばめ〕がやってきました。 つづく・・・

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