住職のつぼやき[管理用]

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〔死後の旅〕と《七つの裁判》

「・・住職さん、うちの死んだお婆ちゃん、今頃どの辺まで往ってるんでっしゃろな~」とお葬式の後、七日毎のお参りの時によく聞かれる。
 僕の宗派の考え方では、阿弥陀仏のお力によって、死後すぐに〔極楽浄土〕に生まれる事が出来ると考えるが、・・今日はひとつ一般的な仏教の考え方で話を勧めたい。
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 ・・となると、仏教哲学の大御所〔ひろさちや〕先生の著書『仏教百科』を頼るしかないので、その本からそのままパクらせて頂く。
 それでは〔死後の旅〕のはじまり、はじまり~。(あんまり楽しそうじゃないなぁー〔笑〕)

 人は亡くなると〔四十九日間〕の旅を経て、その後〔六道輪廻〕の世界(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天)に生まれると仏教では考える。
 それでは、その〔四十九日間〕、いったいどのような旅路が待っているのか?
 では参りましょう・・。
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 人はまず、死後〔七日間〕を掛けて《死出(シデ)の山》を歩く。その山は岩がゴツゴツしていて、人は《星明り》を頼りに歩き続けなければならない。
 そして〔七日〕後、《秦広(シンコウ)王》という裁判官のいる『裁判所』に着き、〔五戒(殺生・盗み・邪淫・嘘・飲酒)〕についての書類審査を受ける。
 その後・・、
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 いわゆる一つの《三途の川》を渡る。
 なぜ《三途》か?・・それは善人は〔橋〕。罪の軽い者は〔浅瀬〕。重い者は〔激流〕の三つの道があるからである。(なるほど!)
 そして、川を渡ると、
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 《奪衣婆(ダツエバ)》と《懸衣翁(ケンエオウ)》というボディービル級のマッチョな婆さん、爺さんに会わなければならない。
 二人の後ろには《衣領樹(エリョウジュ)》という一本の木があり、マッチョな(・・もうエエか〔笑〕)《奪衣婆》が死者の服を剥ぎ取り、《懸衣翁》がその木に服を懸ける。生前の罪が軽ければ、少し揺れ、重ければ、大きく揺れる。この事を〔証拠物件〕にし、次の法廷へ向かう。

〔十四日目〕、《初江(ショコウ)王》の裁判所に着き、〔殺生(みだりに生き物を殺していないか)〕について裁かれる。
〔二十一日目〕、《宋帝(ソウテイ)王》の裁判所に着き、〔邪淫〕について裁かれる。
〔二十八日目〕、《五官(ゴカン)王》の裁判所に着き、〔生前の言動〕について裁かれる。
〔三十五日目〕、(やっと出ました!)《閻魔王》の裁判所で〔嘘〕をついた事を裁かれる。
〔四十二日目〕、閻魔王の報告に基づき《変成(ヘンジョウ)王》の裁判所で〔大裁判〕が行われる。
 そして〔四十九日〕、《泰山(タイザン)王》の最高裁判所で〔判決〕が下される!

 その『判決方法』とは、《泰山王》が六つの《鳥居》を指差し、死者は自ずから、自分が往く《鳥居》を選ぶのである。この《鳥居》の向こう側が〔六道の世界〕となる。
 この時、死者は、自分の往く世界の選択権が、自由にありそうに思われるが、これだけの〔裁判〕に次ぐ〔裁判〕を経て来たからには、自分の《業》に自ずから気づき反省し、正直に自分に合った世界に進んでしまうという事である。

 ・・以上が〔死後の旅〕の全日程コースでございました!楽しんでいただけましたでしょうか??お疲れ様!! 
 
 
 

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