住職のつぼやき[管理用]

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《死に顔》って、恐ろしい・・?

 亡くなられた人の顔を見るって、皆さんは恐ろしいですか?
 先日、ある(ご高齢の)おじいさんが亡くなられて、《枕経》に行って来た時のこと・・。
 〔読経〕が始まる前に、おじいさんが寝かされている布団の横に、皆が集まって《死に顔》を見に、そして手を合わせに来られました。
 そこに(五才の)女の曾孫さんも来ました。
 その女の子は、しばらくその《お顔》を見ていたのですが、「もう、いい・・。あっちに行く。怖い・・」に言って、立ち上がりました。
 それを見て親戚のおばさんらしき人が、「おじいちゃんの顔をちゃんと見とこうね」と言ったのですが、「いや、怖い」と言いました。
 僕はその時「おじいちゃんは、仏様になったんやで、怖くないで」と言ったのですが、女の子はその部屋から、出て行ってしまいました。
 僕は自分でこのような事を言っておきながら、少し疑問符が頭に残りました。

 そこのお宅から帰って来た後、僕はその女の子の言った「怖い」という意味を、ずっと考え続けました。
 そして、女の子の『怖い』と言ったことは、非常に正直な意見だと思いました。
 この子は、今まで一緒に生活していた人が、まったく動かなくなってしまった事実を『怖い(恐怖)』と感じたのでしょう。
 僕は大人ですので、死者を見ても怖いとは感じませんが、自分の父の《死に顔》を思い出す時、『自分もいずれこのようになるのだ』という、なんともいえぬ恐怖があった事を思い出し、やはり死者は違う意味で『怖い』です。
 
 《死に顔》を見るという事は、『もうこの人は亡くなったのだ!』と自分を納得させ、かつ、『人は常に《死》と隣合わせに生きてるのだ!・・だから《生》を大事にするのだ!』と認識する大事な儀式だと思うのですが、やはりできるなら・・・見たくないと思う(心)があるのが本音です。僕は・・。

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