《ケアハウス清徳での出前風景》
『嫁おどしの面』 (あらすじ) 〔仏教もの27〕
昔、福井県は《吉崎》という所に、夫と子供を亡くし、姑とふたりで暮らす〔清(キヨ)〕という嫁がいた。
家族を亡くし、人の世の無常を嫌という程味わった〔清〕は、一日の仕事を終るとお墓参りをし、その後毎日、蓮如様のお寺へお説教を聴きに行くのだった。
・・・が、〔姑〕は、大の仏教嫌い。そこで、なんとかして〔嫁〕のお寺参りを止めさそうと、この家に代々伝わる《鬼の面(能面とも云われている)》を付け、お寺に行く途中の〔清〕を驚かす作戦を考えた。
そして、遂に決行の日はやって来た。
姑は或る月夜の晩、お面をかぶり、手には鎌を持ち、竹やぶの中から飛び出し、「わしは鬼じゃぞ~!お前を食らおうか!」』と〔清〕を驚かせた。
一瞬、驚いた〔清〕であったが、どうにか心を落ち着かせ、鬼を無視して、足早にお寺へと向かって行った。
後に残された姑は、作戦失敗にがっくりしトボトボと家路に着いた。
・・が、ここでハプニングは起きた。
姑のお面が外れないのである。あせる姑!。しかし力一杯外そうとすればする程、顔にくい込んで、やがて血が滲み出てきた。
やがて、〔清〕が帰って来て、すべては露見した。
・・反省し涙、涙の姑であったが、お面は取れない。
そこで、〔清〕は姑と一緒に《お念仏》を称えることを提案する。・・初めて念仏を称える姑。一心に称える嫁。
すると、なんと不思議なことに鬼の面はパラリと落ちた。
涙を流し、手を取り合って喜ぶ二人。
そして次の日、このお面を蓮如さまのお寺に献上し、こののち、二人は仲良くお寺参りを続け、幸せに暮らしたという。
そして、このお面は『嫁おどし肉附きの面』という名で、今でも《吉崎》のお寺にまつられている。 (拝観料払ったら見れまっせ!) おしまい
〔ケアハウス清徳で『嫁おどしの面』のレプリカを付けて外れなくなり、入居者の方に念仏を称えてもらって外そうとしている僕のトホホ・パフォーマンス写真・・(笑)〕