住職のつぼやき[管理用]

記事一覧

※画像をクリックすると拡大されます。

紙芝居:「金子みすゞと仏さま」(その11・最終回)

ファイル 1222-1.jpg
(金子みすゞの墓)
 「自分は死んでも、必ず(見えぬけれども在る)仏様の国に往ける。そして、そこから娘を守ってあげる事が出来る!」と・・・、
 金子みすゞは、夫と両親と弟に『娘の養育は母に任せたい』と遺言状をしたためました。
 そして、睡眠薬を多用接種し、26歳で自ら命を絶ちました。
 そしてその通りに、娘さんはみすゞのお母さんによって育てられる事になります。

 それでは最後に、みすゞの代表作の一つとなりました『星とたんぽぽ』と詩をご紹介致しましょう。
ファイル 1222-2.jpg
 『星とたんぽぽ』(「金子みすゞ全集・Ⅱ」より)
「青いお空の底深く、
 海の小石のそのように、
 夜がくるまで沈んでる。
 昼のお星は眼に見えぬ。
 見えぬけれどもあるんだよ。
 見えぬものでもあるんだよ。

 散ってすがれたたんぽぽの、
 瓦のすきにだぁまって、
 春のくるまでかくれてる。
 つよいその根は眼に見えぬ。
 見えぬけれどもあるんだよ。
 見えぬものでもあるんだよ。」
ファイル 1222-3.jpg
 ・・金子みすゞ。
 本名、金子てる。
 行年、26歳。
 法名 釋尼妙春信尼。

 お墓は、仙崎の遍照寺さまの境内にあります。
ファイル 1222-4.jpg
 『繭(まゆ)と墓』(「金子みすゞ全集・Ⅱ」より)
「蚕(かいこ)は繭に入ります、
 きゅうくつそうなあの繭に。
 けれど、蚕はうれしかろ、
 蝶々になって飛べるのよ。

 人はお墓に入ります。
 暗いさみしいあの墓へ。
 そしていい子は、羽が生え、
 天使になって飛べるのよ。」

 おしまい

紙芝居:「金子みすゞと仏さま」(その10)

ファイル 1221-1.jpg
金子みすゞは、夫との間に可愛い女の子を一人授かります。
 みすゞは、その子を目の中に入れても痛くないほど可愛がりました。
 しかし、又、運命の変わる時が来ます。
 みすゞの夫が、義理の父と喧嘩をして、店を辞めてしまったのです。
 こうして、みすゞ夫婦は、義理の両親の暮らす本屋を出て行くことになりました。
 そして夫は、新たに商売を始めますが、うまくいきませんでした。
 そして、元々、妻のみすゞの才能に理解の無かった夫は、つらく当たり出したのです。
 「詩を書くことは許さん!」
 「雑誌への投稿もダメだ!筆を捨てよ。」と。
 これは、次第に有名人となってゆく妻みすゞへの嫉妬もあったのでしょうが、みすゞにとっては、生きがいをすべて盗られることでもあり、たいへん辛く悲しいことでした。
 が、みすゞは耐えました。
 家族が仲良く暮らす為、子供の為だと思って耐えたのでした。
ファイル 1221-2.jpg
 が、さらに、そんなみすゞに追い打ちが掛かります。
 悪い遊びの過ぎた夫から、性病をうつされたのです。
 病院に行くお金も無いみすゞは、だんだんとやつれてゆきました。
 「・・これでは、娘共々倒れてしまう。」と、ここでようやくみすゞは、夫との離婚を決意するのです。
 しかし、離婚の話を呑んだ夫から、一つの条件を出されます。
 それは、「娘の世話は俺がする!・・娘を渡せ。」というものでした。
 「あの夫に娘を渡したら、きっと娘は不幸になる。・・しかし、こんな病弱の体の私にはとても育てられない。・・願わくば、娘は私の母に育ててもらいたい。・・しかし、今の法律では親権は夫にある。・・こうなったら、私は命を捨てて、それを夫に訴えるしかない!」と、自殺を決意するのでした。 
 つづく
 

上に戻る