住職のつぼやき[管理用]

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エンドレス会話(お手拭編)

 先日、出前法話で行かせて頂いた、と在る『老人ホーム』のおやつの時間でのこと。
 テーブルの上に、お饅頭とお茶とお手拭(小さな紙ナプキン)が一つ置いてある。
 お年寄りの方がたは、もうすでに席についておられる。
 僕も座る。
 皆で合掌ののち、お手拭で手を拭いてお饅頭を食べようとする。
 すると、僕の隣のお婆ちゃんが一言、「あんたの(使った)お手拭がシワクチャになってるから、たたんで上げる」と、さっと取り、キレイに四角く畳んでくださった。
 僕は「ご丁寧にありがとうございます。」と言って、お饅頭を食べて又、手を拭く。
 すると、先ほどのお婆ちゃんが「あんたのお手拭がシワクチャになっているから、たたんで上げる」と、又、さっと取り、四つ折にしてきれいに畳んでくださった。
 僕は「あぁ、ありがとうございます。」と言って、お茶を飲んだり、他の人と雑談をしていると、先ほどのお婆ちゃんが、「あんたのお手拭をたたんであげる」と言って、もうきちんと畳んであるお手拭を再度広げて、又、四つ折にされきちんと畳んで下さった。
 僕は笑いながら「ありがとうございます。・・ところで、お婆ちゃんは、何の仕事をされていたんですか?・・キチッとされてますねぇ。何か、接客のお商売をされていたのですか?」と聞くと、
 「はい、昔、難波で昆布の店頭販売をしておりました。」と答えられた。
 僕は「ああ、それで商品の包装とかをされていたのですね。だから、畳むのが上手いのや」と言うと、そのお婆ちゃんは微笑みながら、「ほほほっ、そんな、上手いやなんて・・、毎日包装してましたから」と言って、又、僕の(結構ボロボロになってきた)紙のお手拭を又さっと奪い、又広げ、又元通りにきちんと畳まれた。
 そして「昔は忙しいかったんよ~~」と言って、今度はみんなの使いかけのお手拭を取りに行って、同じ事ように又広げて、又畳んで、皆の元に戻された。
 皆さんも、よく解っておられるようで、「いつも有難う。ご丁寧に」と言って、されるがままに見ておられる。
 僕は、『皆、よくこの人の親切さを理解しているんや』と思って、微笑ましく眺めていたら、又、このお婆ちゃんは僕のお手拭に気がつき、「あんた、よく手を拭いたなぁ。ボロボロになってるやん。私がちゃんと畳んであげる」と、又僕のお手拭を手にとって、畳み始めたのであった。
 

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