住職のつぼやき[管理用]

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今日の宿題

 今日は『特養老人ホーム甍』の「講話クラブ」の日であった。
 はっきり言って今日はうまくいかなかった・・と思う。
 ・・というのも、お一人、ただひたすらにひとり事を(中声で)喋り続けるお婆ちゃんが来られて、その方が僕が話している途中もずっと一人でしゃべり続けられ、・・なんというか、一つの部屋で、二つの大型テレビの音が鳴り続けているような状態であったのだ。
 職員も(そのひとり事を)止めることができないし、クラブの途中から来られたので、僕も紙芝居を読んでいて、注意することが出来なかった。・・といってご自分のお部屋にも帰られない。ずっと喋りっぱなしだ。・・他の入所者の方も、僕の話が聞きずづらそうだし、そして(職員もお部屋に)つれて帰られもしない。
 おそらく、ご自分のフロアーでも、皆から嫌がられているんやと思う。・・だから持て余され、このクラブにつれて来られたのやろう。そして、講話クラブやったら、このお婆ちゃんのお喋り癖が何とかなると、職員が思われたのかもしれない。(結果的にどうにもならんかったが。)このお婆ちゃん、誰かに自分の話をゆっくり聞いてもらいたいのやろう。・・同情はする。しかし、皆に迷惑を掛けるのはいかんこっちゃと思う。次回、この(認知症の)方が来られた時、どう対処するかが、今日の僕の宿題となった。
 ・・今度は、一番前の席に来てもらって、僕と面と面を合わせて、直接対話をし続けるか。・・はたまた、一番部屋の後ろの隅で、皆に迷惑をかけんように、一人しゃべり続けてもらうか。・・はたまた、僕の横に来てもらって、お客さんの方を一緒に向いてもらって一緒にクラブを進めるか。 なんか、これも学校のお喋り問題児が先生の机の横で、ずっと勉強をさせられてるみたいで良い考えとは言えんなぁ。・・が、いろいろとやってみねば、これは僕の(クラブの)小さな試練でもある。

紙芝居:「わらしべ長者」 前編

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 (プロローグからの続き~) 
 その晩、若者は仏様の夢を見た。
〔仏様〕「お前はたいそう働きものじゃ。願い通り、幸福を授けてやろう。
 明日の朝、最初に手にした物が、お前の《幸福》じゃ。
 よいな、最初に手にした物じゃぞ!」と、仏様は夢の中でおっしゃられた。
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 次の日、若者は「なんとも不思議な夢を見たなぁ・・」と、大きなノビをして外へ出たとたん、ツルリッと足を滑らせ、ドッスン!
 「ありゃ、最初に手にした物は、・・この《わらしべ》一本か?! これが《幸福》とは、なんとも心細いなぁ~。
 でも、仏様から頂いた物だ。大事にしよう」と・・、
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 町に向かって歩いて行くと、顔の回りをブンブンと、アブが一匹飛び回った。
 「シッシッ!うるさい奴め、こうしてやる!」
 と、若者はそのアブを捕まえて、持っていた《わらしべ》に結びつけてしまった。
 (・・そう、この《わらしべ》は、仏様からの大事な贈り物である事を、すでにこの(とらわれの気持ちのない)パッパラな若者は忘れておったんじゃ。しかしそれが良かったんじゃな。仏様は「わしの授けた《幸福のわらしべ》に、なんとっアブを結び付けるとは!・・もったいない事をしよって!この罰当りめ!」とは怒らず、微笑んで見ておられたんじゃな。)
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 そして又、ズンズン、ズンズン歩いて行くと、一台の立派な〔牛車〕が、向こうからやって来て、この若者の前で止まった。
 そして、その牛車から一人の子供が窓から顔を覗き出し、その家来が、若者の所にやって来た。
 けらいは、「あの~、すみませんが、あなたの持っておられるその《アブ付きわらしべ》を譲っていただけませんか? うちの若殿がほしがっておられまして・・」と言ってきた。
 若者は(「これは仏様からの大事な頂き物ですから、絶対ダメです!」とは言わず、)
 「お望みとあらばどうぞ」と言って、アブを差し出した。
 けらいは喜んで「これはお礼です。」と言って、《みかん》を三つくれた。
「わずかな間に、一本の《わらしべ》が、《みかん》三つになった。これはきっと仏様の御利益だな」と、この脳天気な若者はそう勝手に解釈して、このみかんを食べようと歩いていると・・・。 つづく
 

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