(西行)「・・が、しかし、そんなわしの活躍を面白くないとする僧侶がおった。
その坊主の名は、〔文覚(もんかく)〕といって、暴れん坊で有名な奴じゃった。
〔文覚〕は、わしがちゃんと修行もせず、歌ばかり作って遊んで旅をしていると、勘違いしておったんじゃな。
〔文覚〕は弟子たちに、「一度、〔西行〕と顔を合わす機会があれば、ゲンコツを喰らわしてやる!」と息巻いておったんじゃよ。
そして、ついに〔文覚〕は、わしと顔を合わす時がきた。
・・それがじゃ、なんと〔文覚〕は、わしを一目見るなり、ニコニコ顔になって、手厚く持て成してくれたんじゃ。
そして、わしは〔文覚〕と円満に別れた。
・・〔文覚〕の弟子たちは、わしを見送った後、師匠に詰め寄ったそうじゃ。
「師匠、話が違うではありませんか!〔西行〕をぶちのめすのではなかったのですか!」と。
すると〔文覚〕は、「お前たちは、あの〔西行〕の面構えを見なかったのか。・・あれは紛れもなく、武士の顔じゃ! もし、わしが殴りかかったとしたら、反対にわしがボコボコにされたであろうよ。」と、言ったそうじゃ。
〔僧侶〕として、又〔歌人〕として、穏やかに生きて来たつもりであったが、見るものが見れば、わしは紛れもなく〔武士〕の臭いがしたのじゃろうな・・。
まぁこの話は、わしの他愛もないエピソードじゃがな。わっはっはっ。
次回、いよいよ最終回じゃ。」
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