住職のつぼやき[管理用]

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紙芝居:『上田秋成ものがたり』(その2)

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秋成は一人前の商人になるべく、懸命に勉強をしました。
 がしかし、だんだんと商売よりも,悪所で遊んだり、俳諧や小説を書くことに夢中になっていきます。
 やがて秋成は、『カニのような変わり者の男』(剪枝畸人)という意味のペンネームを自分で付けて、幻想怪奇小説を執筆します。
 これが、大ヒットとなった『雨月(うげつ)物語』でした。

※それではここで、この『雨月物語』をちょっとお遊びで漫才風に説明させて頂きましょう。
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 ある日、上田秋成の家に、数少ない親友の一人の[木村けんか堂]が訪ねて来ました。
木村「なぁ上田君、僕の友達で、君の書いた小説の題名を忘れてしもた奴がおるんやけど、一緒に思い出してやってくれへん?」

上田「そんなん、お安い御用や。・・それでどんな小説って言ってた?」

木村「なんか、幽霊が仰山出て来る短編小説集らしいんやて・・。」

上田「ほぉー、それやったら『雨月物語』やろ。・・僕の短編小説集で幽霊が仰山出てくる話は『雨月物語』か、あとはパッとせえへんかった『春雨物語』ぐらいしかないんよ。」

木村「僕も『雨月物語』と思てんけどな、その話はただの幽霊話と違って、人間の欲望や女性の悲しみを描いた人間愛憎作品やっていうんや。」

上田「ほぉー、それは絶対に『雨月物語』や。この作品は中国の古典などから、ワシが真似っこして、日本風に味付けした味わい深い内容作品なんよー。」

木村「僕も『雨月物語』と思たんやけどな、友達が言うのに本が完成したのに、なかなか出版せえへんかった自信のない作品やって言うんよ。」

木村「じゃあ『雨月物語』と違うか・・。この小説は考えに考えて時間を掛けた作品で、一発屋狙いと違うんよ。・・で他になんか言うて無かった?」

上田「その友達の本居宣長君が、あんな偏屈の秋成がほんまに書いたかわからんぞと、言うんよ。」

木村「やっぱり、そいつは本居宣長か!あいつめ!今度あいつの家に怒鳴り込んだんぞ!」

上田「もうええわ。」
※上田秋成と本居宣長の仲の悪さは有名でした。(余談)
続く。

紙芝居:『上田秋成ものがたり』(その1)

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今からおよそ290年ほど前の江戸時代のおはなし。
 美しくも悲しい『雨月物語』という怪奇小説を書いた[上田秋成]は、大阪は賑やかな曽根崎新地で生まれました。
 彼は作家であり、国学者であり、医者でもありました。
 それでは、多芸多彩で波乱に飛んだ上田秋成のお話をさせて頂きましょう。
 はじまり、はじまりー。
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 上田秋成は、幼少[仙之助(せんのすけ)]と言いました。
 仙之助こと[秋成]の実の両親については、はっきりとは分かっていません。
 彼は4歳の時、[上田家]という紙油の商家にもらわれて養子になりました。
 上田家は裕福な家で、秋成はそこの両親の跡取り息子として大事に育てられたのです。
・・が、秋成は5歳の時に【天然痘】という疫病に掛かってしまいます。
 信心の篤かった養父は、秋成が回復するように、『加島稲荷=[現・香具波志神社]』で懸命に祈ります。
 その甲斐あって、指に後遺症は残りますが一命は取り留めることは出来ました。
 のち、秋成は一生この神社を大切にして、お参りを欠かせませんでした。
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(香具波志神社・大阪市淀川区)
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(神社のすぐ横にある秋成の墓?※見つけにくい場所でした)
つづく
 

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