住職のつぼやき[管理用]

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『心配するな、なんとか成る』・・さ

 昨日、ご法事に行かせて頂いた〔お家〕での話。
 僕が車で到着した時、その家の前の〔駐車場〕に人だかりが・・。
 何事かと思って見ると、お参りに来られた〔親戚同士〕の車が接触事故を起こしている。
 そして気まずい空気が流れ、ひそひそ声で話合いがさせている。(そらそうやと思う。今から仏事やというのに、トラブルが発生してしまったんやから。・・)
 まぁ、それでも《法事》はスタートした。
 僕は仏壇の前でお勤めしていても、後ろの気まずい空気をピリピリ感じていた。
 だから、いつもより『お経』は短い目に終って、お話をさせて頂くことにした。
 大きく深呼吸して僕は話し始めた。
「一休さんの遺言の話をさせて頂きます。
 ・・とんち小坊主で有名な一休さんは、ご長寿で88歳まで生きられました。
 そして亡くなる前に、弟子達に『遺言書』を残されました。そして弟子達に言われました。
『お前達、ワシが死んで、どうしようもないトラブルが起こった時、この〔遺言書〕を開け。 ここにはどんな問題も解決できる《秘策》が書かれてある。・・ただし、めったな事では開くなよ』と言って、亡くなられました。
 そして、その後何年かして大問題がお寺で発生し、いよいよこの『遺言書』を開く時が来ました。
 そして皆で読経し、長老がこの『遺言書』を開いた時、なんと、ビックリして(吉本新喜劇のように)ズルッとずっこけてしまったのです。
 なぜかというと、そこにはたった一言だけ。
『心配するな、なんとか成る 〔一休〕』だけが、書かれてあったからです。
 長老がそれを読み上げると、その『遺言書』披露の場は、温かい笑いにつつまれました。
 お弟子さん達は、さすがは皆お利口さん。その真意を悟り、みなはリラックスして、良き『解決方法』を見出したという事です。
・・お話はこれでおしまい。 それでは皆さん、ご一緒にこの一休さんの遺言を私と一緒に三度、ご唱和致しましょう。『心配するな、なんとか成る。・・・』」
 と、こんなお話をした。
 気まずかった法事の席の列席者は、皆お利口さん。僕がなぜこんな話をしたかという真意を受け取って下さり、拍手と笑いが起こった。 (「そや、怪我人が出なくて、良かったやんか・・」と、そんな談笑の声も聞こえてきた)
 そして、JAFが来る前に、僕はそそくさと引き上げたのでした。
 『なんとか成る』ようにと願いつつ・・。

 〔余談: 僕はどうでも良い事だと思っているのだが、この一休さんの『遺言書』の話。どうやら「マユツバ」らしい・・。本当の遺言は(一休さんらしいと云えばそれまでなのだが、)もっと凄まじい。・・でも、それは又、別のお話。機会があれば又お話しましょう〕

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