住職のつぼやき[管理用]

記事一覧

※画像をクリックすると拡大されます。

『《冷や汗》は突然に・・・』

 老人ホームでお話をするというのは、難しい事だと思う。
 『お寺の出前』をやり出して10年以上経っている今でもそうだ・・。
 今日はそんな〔出前の現場〕で《冷や汗》を流した三つの思い出をお話をしたいと思う。
 一つ目の《冷や汗》~それは『特養ホーム白寿苑』での事。
 それはまだ《法話会》を始めて2~3回目ぐらいの駆け出しの頃だった。
 僕がお話を始めたら、前列左の車椅子の老婦人が突然、「こんなん、つまらんわ!」と言って床につばを吐いて、僕の前をゆうゆうと通り過ぎて帰ってしまわれた。この時は体が凍りつき脇から汗が流れた。この後、何をどうしゃべったか覚えていない。・・が、帰ってから夜眠れなかったのは覚えている。(この時、僕は数年後にこの女性のお葬式をする事になろうとは夢にも思わなかった。・・が、それは又別のお話。)

 二つ目の《冷や汗》~それは和歌山の或る『特養ホーム』での事。
 この時は『紙芝居』の最中だった。最後列の老男性が、突然「何言うてるかワカラン!」と叫ばれた。しかし止めるわけにいかんので『紙芝居』をさらに続けたら、又「何言うてるかワカラン!意味がワカラン!」と叫ばれた。この時は額から汗が流れた。(この時から、僕は話はできるだけ〔シンプル〕に〔短く〕〔わかりやすさを心掛ける〕と決めた。)

 三つ目の《冷や汗》~それは『特養 甍』での事。
 確か《お盆》の意味を説明していた時だったと思う。前列の老男性が、突然何を思ったか、「・・長崎は~、今日も~、雨だった~・・」と大きな声で唄われ出した。僕は《お盆の話》どころではなくなり、「・・長崎のご出身ですか?・・あそこはチャンポンやカステラが有名ですね~」と受けて歌をストップさせ、この先どうやって又、《お盆の話》に戻そうかと汗をかきながらお話したのを覚えている。

 こうやって改めて思い出すと、まだまだこんな話はありそうだ。・・が、今回はこの辺にしておく。
 ・・さて、突然起こるこのような〔ハプニング〕を色々経験し、果たして僕は精神的に強くなったのか?はたまた、ただの図太いあつかましいおっさんへと変っていってしまったのか?・・それはワカラン。
 ・・が、それにしても本当に〔ハプニング〕は突然起こってくるもの。・・確か歌手の《小田和正》の歌に『ラブ・ストーリーは突然に』というヒット曲があったと思うだが、まさに『出前流』に置き換えると、『《冷や汗》は突然に・・』という感じがせんでもない。「・・あの日~、あの時~、あの場所で~、君が叫ばなければ~、この僕はいつまでも~、ただの気弱なおっさんのまま~・・(笑)」。

 

上に戻る