住職のつぼやき[管理用]

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紙芝居:『にんじん』(その3)

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 僕は、おねしょをする癖があった。
 おねしょをする度に、お母さんは僕をきつく叱った。
 しかし、或る日、又僕はシーツを濡らしてしまった。
 ・・が、その日、お母さんは何も言わずにその濡れたシーツを持って部屋を出て行った。
 「にんじんっ、朝ごはんよ!」と、しばらくしてお母さんは僕を呼んだ。
 僕はテーブルについて、スープを一口飲んだ。
 僕はドキッとして、スプーンを止めた。
 それを見て、お母さんは笑いながら言った。
「汚い子ね。わが子ながら嫌になっちゃう。・・いいこと⁉あなた、自分のした[おねしょ]入りのスープを飲んだのよ。」と、言った。
 僕は「うん、たぶんそうだと思ったよ。」と言った。
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 ある日、僕はおでこに怪我をしてしまった。
 大量に出たおでこからの血を見て、僕ではなく、お兄ちゃんが「ギャー!」と言って気絶してしまった。
 お母さんが飛んで来て、僕ではなく、お兄ちゃんをそっとベットに運んで、冷たい水で頭を冷やして看病し始めた。
 僕は姉さんに包帯を巻いてもらった。
 そんな僕を見て、お母さんは言った。
「まったく、いつもこうなんだから!本当にどうしょうもない子ね!」と。
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 ある食事の時。
 お母さんは、僕に言った。
「あなたの分のメロンはありませんよ。私と一緒で、にんじんはメロンが嫌いだから。」と。
 本当は、僕はメロンが大好きだった。
 が、お母さんの言うことには逆らえなかった。
「さぁ、にんじん、メロンの残りの皮をウサギに持って行ってやりなさい!」とお母さんは言った。
 「はい。」と僕は答え、家族が食べ残した黄色い部分を、ウサギ小屋で一人懸命にかぶり付いたのだった。 つづく

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