今まで、何百回となく『お葬式』をさせて頂いてきたが、さすがに昨日のお葬式最中の出来事は驚いた。
それは、こうだ・・。
読経が始まり、10分ほど経った時の事だった。
突然、僕の真後ろで、「誰か、救急車、救急車を呼んで!・・お父さん、しっかりして!」と、叫び声が上がった。
僕は読経を止めて後ろを見ると、故人のご兄弟の男性(60才ぐらいか?)が、隣の奥さんにもたれ掛り、目を見開いたまま口を開き、息をしてるかしてないか、ピクリとも動かない。・・意識がないのだ。
「脳梗塞や!」と僕は思った。
親戚の皆は「動かしたらあかん。職員さん、布団か毛布を持ってきて!」と声を上げ、葬儀社職員はあわてて外へ飛び出し、急いで簡易ベットと座布団を持って来る。
皆でそっとその男性をそこに寝かし、ネクタイとベルトを緩め、奥さんは声を掛け続けた。
娘さんは「どうして、こうなるのー」と泣き出し、僕は「落ち着いて。呼吸してはるから大丈夫や」となだめる。
すると、男性の意識が急に戻った。
そして、「わし何してたんやろ?・・皆どうしてん?」と言い出した。奥さんはそれを聞き、状況説明をされた。
「・・寝不足やから、わしは大丈夫や。」と男性は言って起き上がろうとしたが、皆が口をそろえて「それは違う違う!寝とき」と促す。
その時、救急車が来て、タンカが運ばれ、男性は皆に手伝われて外へと運ばれた。
そして会場は又、落ち着きを取り戻した。
僕は「そや、お葬式の続きをせな、いつまでたっても終らんわ」と思い、急いで職員たちと一緒にパイプ椅子を元通りにして、続きから読経をはじめる事にした。
しかし、司会者も居なくなり、若い女性職員は呆然としたままだったので、僕はとっさに「司会も、僕が一緒にやりますから」と言って、自分で「はい、皆さん、ここで合掌、お念仏をお願いします」と葬式ナレーションを独自に読経の間に入れ、なんとか無事、お葬式を終えた。
まぁ、こんな事をゆうちょうに書いてると言う事は、この倒れられた男性が、昨日の晩、無事に病院から元気に帰って来られたからなのだが、ほんまに、一寸先は何が起るかわかりまへんなぁ。
みなさんも、ご用心、ご用心。
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