住職のつぼやき

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春が来ると思い出す・・・

 今年もようやく春らしくなって来た。
 僕は毎年、この季節になると思い出すことがある。
 それは、大阪の〔不二家〕というケーキ屋さんの店先で、路上〔紙芝居〕をやった時のことである。
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 ここの店長は、僕の前に勤めていたお寺の〔総代〕さんで、熱心な仏教徒であった。
 店長の口癖は「わしは仏教徒やけど、ケーキ屋やから毎年〔クリスマス〕には盛大ケーキを売って儲けさせてもろてます。・・そやけど、やっぱりキリストさんの誕生日だけではなく、おシャカさんの誕生日にも何かせんとアカンと思ってまんねん」であった。
 それで或る年の4月の《花まつり》から、店先で《仏像》を出して〔甘茶かけ〕を通行人にしてもらい、シュークリームをプレゼントするというイベントを始められた。
・・が、ある時、うちに電話を掛けてこられて、「今ひとつ、通行人に〔甘茶かけ〕の意味が理解してもらわれへんのです。それで申し訳ないけど、店先でおシャカ様の『紙芝居』をやってもらえんやろか?・・わしが客引きして、店の前に椅子用意して座ってもらうようにするから・・」とむちゃくちゃな吉本の若手芸人がやるような話をしてこられた。
 ・・それでオモロそうだったのですぐ受けた。
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たくさんの車と、忙しく自転車で人が行き交う中、店先で《店長》が、「さぁさぁ、寄ってらっしゃいよ・・今から『おシャカ様の紙芝居』が始まるよ!」と言って、無理やり通り掛かりの人を何人か集めて来て、そこで僕が拍子木を鳴らして『紙芝居のはじまり、はじまりー』と調子を合わせて演った。
 一日何回、同じ紙芝居を演ったであろう・・、よく覚えていないが、とにかく恥ずかしかった。・・が、面白かった。排気ガスでのどが痛かったが、《ギャラ》としてシュークリームとケーキとペコちゃん人形をもらったので〔まぁええ〕とした。

 それから何年か経ち・・よく流行っていたこの店も、今はもう閉店して無い。それは店長の跡継ぎ息子さんが病気で亡くなり、それから店長は働く《気力》を無くしてしまわれたからである。・・が、いつか又、必ずこのオモロイ店長は不死鳥のように《復活》されるであろう!・・と思う。僕はそう信じている。
 

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