記事一覧

※画像をクリックすると拡大されます。

紙芝居:「滝畑に磨崖仏(まがいぶつ)あり」 (後編)

ファイル 845-1.jpg
 「磨崖仏」は、はじめに『聖(しょう)観音菩薩像』から、彫り始められました。
 この仏さまは、災難や恐怖を取り除いて下さる御方です。
 庄吉さんは、近隣のお寺さんからいろんなアドバイスを頂きながら、旅人の安全を願う気持ちを大事にして、この仏さまを彫り始められたのでしょう。
ファイル 845-2.jpg
 『聖観音菩薩像』完成後、庄吉さんは次に、その隣に『地蔵菩薩像』を彫り始められます。
 地蔵菩薩様は、〔死後の世界〕でも救い取って下さる仏さまです。
 滝畑の崖で、亡くなられた方の鎮魂の気持ちを込めて、この仏さまを彫ろうと思われたのでしょう。
ファイル 845-3.jpg
 昭和六年、六年間余り掛かった二体の磨崖仏は、ついに完成しました。
 そして完成とともに、京都から僧侶をお招きし、お祝いの〔落慶(らっけい)法要〕が開かれました。
 又、お手伝い頂いた地元の方達に、感謝の気持ちを込めて『餅巻き』も行われたということです。
ファイル 845-4.jpg
 その後、大仕事を成し遂げられた〔夏目庄吉〕さんは、磨崖仏完成から六年後の「昭和十二年」に、六十一歳でお亡くなりました。
 晩年、お孫さんとご一緒に写された、この絵のようなお写真が、今も残っています。
ファイル 845-5.jpg
 「磨崖仏」完成から、三十六年の月日が経ちました。
 この場所に、大阪府は昭和四十八年から九年間掛けて、『滝畑ダム』を建設しました。
 このダムは、〔農業用水〕の他に、大雨の際は〔洪水〕を防ぐ役目も果たしています。
 この巨大なダムの北側の岩肌に、今も二体の仏さまが優しく微笑み、我々を見守って下さっています。 おしまい

 〔参考資料〕
 河内長野市「生涯学習情報紙」(平成19年3月№22号)より、
 「かわちながの観光ボランティア倶楽部」招集資料、
 河内長野市「児島写真館」より古写真、
 図説 河内長野市史、
 郵政省郵政研究所付属資料館より「制服の移り変わり」など。

(あとがきに代えて)
 ・・この紙芝居が完成した今も、まだ「悩んでいる」。
 (滝畑地区の歴史も、そして夏目さんが磨崖仏製作に掛けた篤い想いも)ろくに解らない僕が、果たしてこの紙芝居を作って良かったのか?・・と。
 又、紙芝居製作に関して、(もうちょっと調べ上げてから作れば良かったのに)「見切り発車」し過ぎてしまったのではないか?・・などと悩む。
 この紙芝居製作に関しては、なぜ?何故?ナゼ?・・ばかりで随分、迷い、完成した今も「これで良かったのか?」という思いが強い。
・・というのは、まず、磨崖仏製作に対しての夏目さんの「動機」が(いま一つ)はっきりしていない、と言う点。
 これは(これだけの大事業をするに当たって)夏目さんの信心の篤さと、旅人を思う優しい気持ちだけで作ったとは、とても理解できない。
 ご自分の日々の生活の中で、やむにやまれぬ「苦しい心情」、いや出来事があったに違いない。(想像であるが。)
・・でないと、これだけの大きな仏像を(お金と時間と命を掛けて)六年間費やして、(一般の素人さんが)一人で彫り上げるのは無理であろう。
 僕は僧侶という仕事をする上で、身内(お子様など)を亡くされたので、お地蔵さまを彫られた方を何人も知っている。・・しかし、これだけの規模での彫刻は知らない。
 「なぜ、庄吉さん、こんなデカイ磨崖仏を彫ったのですか!?」と、(高所恐怖症でもある〔笑〕)僕が、何度も滝畑ダムの上から身を乗り出し、問いかけた。・・が、解らず終いだったが。
 あまり書きすぎると、あとがきにならないので、これで止める(実はもっとある)が、今挙げた一点だけでも、随分迷って書いた。・・だから完成した今も、夏目さんの心情にうまく触れていないような気がして、(上っ面ばかりの紙芝居でなんか申し訳なくて)反省ばかりなのだ。
 
 では何故「製作を急いだか?」というと、パソコンで『河内長野滝畑ダム』と打ち込んで検索した時、そこに数多くの、『滝畑ダム:大阪の心霊スポット』(エトセトラ)などと題する「軽いワイドショー的」興味本位な項目が一杯出て来たからだ。
 「こんな項目が上位にランクされるようでは、夏目さんの苦労が水の泡だ。又、地元に人に対して失礼ではないか」と腹立たしく思い、一刻も早くマイナスのイメージを払拭する為(微力ながらも)作品を作って、観光ガイドボランティアの皆様方に《滝畑には磨崖仏あり!》とハッスルして宣伝して頂きたかったからである。
 ・・本当に微力なのだが、この作品を(うまく好きなように利用して頂き)、夏目さんの志を観光客の方がたに、強く発信していただければ、(正月休みを返上して急いで作った〔笑〕)作者としてこれほどの幸せはありません。ガイドの皆さん、後はよろしくお願い致します。(何か僕で協力できることがあれば、何でもしますのでおっしゃって下さい。)そして、これを読まれた読者の方は、是非一度、(かわちながの観光ガイドボランティアさん等をご予約し)河内長野『滝畑』地区へお越しください。そして《生》の『磨崖仏』を、是非ご覧になって下さい。合掌