住職のつぼやき[管理用]

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「無常やなぁ〜」

「院主さん、親父が死んで三週間。世の中は無常やなぁ、オレ自身も無常やぁと思いまんねん。」と、お参りが終わってお茶を頂いてる最中に、ある檀家の跡取り息子さんがしみじみと言われた。
 泣き言一つ言われた事の無い気丈夫な息子さんだったので、どうされたのかと聞いてみると、次のような事だった。
「オレは若い頃からヤンチャばかりして、ずいぶんと親父を泣かしました。が、親父が死んでなんか猛烈に後悔しましてん。もうちょっと孝行しとけば良かったと・・。で、よし、死んでちゃんと供養せなあかん!と思いましてんけど、三週間経ったらもう忘れかけてまんねん。
 仕事の事やら、家族の事やら、遺産相続のお金のことやらで・・。親父の事をどんどん忘れてゆきます。院主さん、ホンマに無常やなぁ。オレ自身。」
少し[無常。常無らず]という意味を間違えているような気はするのだが、根本的なとこは当っているように思える。
 しかし、そんな事は言わなかった。
僕は「そのお父さんを思う気持ちはちゃんと届いてますよ。」とだけ言って、その優しい息子さんの家を後にした。

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