そもそも事の発端は、昨年(1664)の秋、海の向こうの隣国オランダで「伝染病ペストがどうやら流行り出した」という噂が流れてきたのが始まりだった。
そして、わが国イギリスでも昨年の冬、二人の市民がペストで亡くなった。
が、ロンドンの街の人びとはまだ楽観視していた。
そして1665年の今年、春の終わりごろから猛烈な勢いで、このペスト患者が出だした。
この病は感染すると、発熱などの症状があらわれて、放置すれば60パーセントの確立で死亡してしまうのだ。
我々はこの目に見えない伝染病に、対抗手段もなく、当時としては『神に祈る』しか方法がなかったのである。つづく
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紙芝居:『1665年ロンドン伝染病の記録』(その2)
紙芝居:『1665年ロンドン伝染病の記録』(その1)
(はじめに)
もはや私たちは[新型コロナウイルス]と、いかに付き合っていくか⁈という段階に入ってしまった。
現代の伝染病:コロナウイルス。
そして、昔の伝染病:ペスト。
昔の話なのにどこか似ている・・いや今にそっくりなところもある。
これは今から350年前、実際イギリスのロンドンで起こった伝染病の(小説風)記録『ペスト』を紙芝居にしたものである。
原作は『ダニエル・デフォー』。
おそらく、デフォーは自分のおじさんから聞いた体験談に感銘を受け、その後綿密な調査を基にして書いたものと言われている。
それでは、はじまりはじまり・・。
私の名前は、ヘンリー・フォー。
17世紀のイギリス人だ。
今から、1665年のイギリス、ロンドンで起こった「伝染病ペスト」の、私が見た惨事の記録を皆さんにお伝えしたい。
この年1665年に大流行したペスト菌による死亡者は、約75000人。
およそ、ロンドンの4分の1の人々が亡くなるという凄まじさであったのだ。 つづく