しかし、そんな庄松さんの評判を妬むお坊さんがおりました。
あるお寺の法要の日。
庄松さんが、本堂の前列に座っていると、そのお坊さんが近づいて来て、皆の前で言いました。
(妬み坊)「庄松さんよ、お前さんは法主さまと、兄弟の盃をしたそうじゃな。ならば、さぞかし、お経さまにも詳しいんじゃろう。・・おおそうじゃ、今日はひとつ、そんな庄松様に、お経を読んでもらおうじゃないか。どうじゃ?」と、庄松さんが文字が読めないのを承知で言いました。
それを聞いて、みんなはハラハラ。
すると庄松さんは、「ほい、わかった」と、二つ返事でお経を頂き、おおきな声で「庄松、助けるっ!」「庄松、助けるっ!」とだけ、読んだのでした。
それを聞いて、そのお坊さんは、「・・庄松、その通りじゃ。お経さまには、一人ひとりを助けると書かれてあるのじゃ。意地悪を言って悪かった、許してくれ。」と言ったそうです。
(勝覚寺さま)
余談だが、昨年の春、この紙芝居の取材の為に、四国は香川県の〔庄松さん所縁の寺〕『勝覚寺』さまへ、お参りに行って来た。
そして、本堂で(住職さまはお留守の為)前坊守さまより、庄松さんに関する逸話をいろいろと聞かせて頂き、又、貴重な資料なども実際、見せて頂いた。
こちらの前坊守さんが、まだ小さかった時、実際、庄松さんのことをいろいろと、聞き知っておられる(ご長寿の)方が居たそうで、そんなお話も聞かせて頂いた。
(庄松さんが逆さに読んだ経典)
そして、上の写真が、この紙芝居のエピソードに出てくる本物の『経典』だ。
このように、こちらのお寺には、今もさまざまに庄松さん所縁の品物が残っていて、時間をワープしたような錯覚を覚えたのを今も懐かしく思い出す。
(勝覚寺境内に建つ庄松像)
つづく
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