住職のつぼやき[管理用]

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紙芝居:「出家とその弟子(第三部 父と子)」 その4

 病床の間で・・。
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(唯円)「お師匠さま、お薬をお召しになられませんか?」

(親鸞)「薬はもうよい。・・覚悟は出来ておる。仏さまがお召しになるのだよ。 この世の御用が尽きたのだ。」

(唯円)「・・・。」

(親鸞)「わしは随分長く生きた。・・・90年。 これは人に許されるまれな高齢じゃ。 金さん、銀さんには負けたがのう。」

(唯円)「・・・。」

(親鸞)「・・しかし、この期におよんでも、まだもう少し生きたいと思う。そんな心が残っておる。 浅ましいのう・・。」

(唯円)「お師匠さま、主な『ご門弟』は皆、集まっておられます。」

(親鸞)「おおっ、そうか。」

(唯円)「しかしながら、勘当されました〔善鸞〕さまは、この場に居られません。
 ・・・ご往生にあたって、どうか一言。『善鸞さまを許す』と申して頂けませんか?
 これは、我々皆の願いなのです。」

(親鸞)「わしは、すでに〔善鸞〕を許しておるよ。・・心の中では早うになぁ。」

(唯円)「では、こちらに〔善鸞〕さまをお招きしてもよろしゅうございますか?」

(親鸞)「何っ? 善鸞がここに来ておるのか?」

(唯円)「はい、先ほど、早飛脚でこちらにもうすぐ到着するとの連絡がありました。」

(親鸞)「・・そうか、善鸞に会えるのか。」

(唯円)「到着されましたら、お師匠さまのお口から直接、『許す』と申していただけませんでしょうか?」

(親鸞)「・・わかった。 ・・しかし、善鸞の《信心》が、今はいかがなものか? 尋ねてみねば、ならんのう・・。
 あやつは《阿弥陀仏》さまをどう思っているじゃろうか?・・是非、聞いてみたい・・。」

 その時、あわてて〔勝信尼〕が部屋の外から声を掛けました。

(勝信尼)「お前さま、唯円さま、善鸞さまが到着されましたー!」
(唯円)「そうかっ、すぐにお部屋に入ってもらうようにお伝えせよ。 お師匠さま、善鸞さまが到着されました!」

(親鸞)「おぉっ、そうか。善鸞、善鸞・・・。」
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 つづく。 次回、いよいよ最終回。


 

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