〔おかん〕が極楽に来て、二十年が経った。
あいかわらず、極楽は平和な時間が流れていた。
〔おかん〕は、又フッと、横に居る夫に言ってしまった。
「お前さま、いったいいつまで、ここに居るんじゃろう?・・いつになったら、別の世界に往けるんじゃろう?」と。
それを聞いて、夫〔宗兵衛〕はムッとして、
「くどい!いつまでも、いつまでもじゃ!」と答えた。
叱られたと思った〔おかん〕は、しょげて、そのまま黙ってしまった。
・・が、ふと〔おかん〕の脳裏には、一つの疑問が浮かび、思い切って夫に聞いてみた。
「ねぇお前さま、・・『地獄』ってどんな所なんでしょうか?」と。
その時初めて、〔宗兵衛〕の顔の表情が、ピクピクッと動いた。 つづく
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紙芝居:「極楽のはなし」 その4
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