白隠さまの言葉にカッとなった武士は、刀を抜くと斬りかかろうとしました。
すると白隠さまは、「おぉ、腰抜け武士のくせに、少しは度胸があると見える!? さぁ、わしを斬れるものなら斬ってみよ!腰抜けサムライ!!」と言って逃げ出しました。
怒りの頂点に達した武士は、刀を振り上げ、白隠さまを追い掛けました。
そして、追い詰め刀を振り下ろそうとした次の瞬間・・、
白隠さまはくるりと武士の方を向いて、武士を指差し大声で言いました。
「カッーツ!(喝)、それが[地獄]じゃ!お主は今、地獄の中におる!」
その言葉に、「はっ」と我に返った武士は、その場に座り込み両手をついて言いました。
「いかにも・・。あっありがとうございます。
・・私は今、地獄の中に居りました。
一瞬の怒りで身を滅ぼすところでした。
・・これが地獄のありかなのですね。」
と、ポロポロポロポロ涙を流しながら、謝りました。
「そうそう、それそれ、その涙を流して感謝し謝る姿が仏の姿じゃ。
即ち、極楽にありかじゃのう。はっはっはっ。」と白隠さまは笑いながら答えました。
これが、白隠さまが生涯テーマにした『脱地獄』の教えなのでありました。おしまい
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紙芝居:『続・白隠さま』(その4 最終回)
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