住職のつぼやき[管理用]

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紙芝居:「因幡の源左さん」(その6)

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 源左さんの逸話つづく・・。
 源左さんは、毎朝、必ずご仏壇の前で、お勤めをしました。
 最初に述べましたように、源左さんは文字の読み書きが出来ませんでした。・・・が、お経は丸暗記されていて、その声はとても澄んで、よく通る声だったそうです。
 又、夜もご仏壇の前でお勤めをしました。
 ・・が、途中、よく居眠りをされたそうです。
 朝早くから起きているのですから、当然かもしれませんが、中には「源左さん、ご仏壇の前で居眠りなんて行儀が悪いですよ!」と注意するものも居りました。(まぁ、それが普通やろうなぁ)
 しかし源左さんは、「いいや、阿弥陀(仏)様はこの源左の親様じゃ。だから、子供が親の前で居眠りしても何ともないだ。ようこそ、ようこそ、南無阿弥陀仏。」と言ったそうです。(まぁ、源左さんが言うから、納得してしまうねんけど・・。〔笑〕)
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 又、或る日のこと。
 源左さんは、田んぼから帰る途中、ずっと自分の手のひらを見つめ続けておりました。
 そして、家に帰って来た源左さんは、家族にポツンと言ったそうです。 
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(源左)「親からもろた手は、強いもんだなぁ・・。
 痛んだ草刈の〔鎌の刃〕は取替えねばならんけど、手のひらは何十年使うても、磨り減ることもなく、欠けることもなく、よう働いてくれる。
 ・・なんと有り難いことじゃろうか。ようこそ、ようこそ、さてもさても、南無阿弥陀仏。」と呟いたそうです。
 普段、我々が当たり前のように思っている事を、源左さんの目から見れば「なんと、もったいない(不思議で有り難い)こっちゃ」と、思われたのでしょう。 つづく(次回、最終回)

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