住職のつぼやき[管理用]

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《静けさ》を味わうクラブ

 昨日は、特養老人ホーム『甍(イラカ)』の《講話クラブ》の日であった。
 このクラブ活動は、毎月30名程の参加者がある。
 その中で、話の内容をはっきり理解し聞いてくださっている方は、何人ぐらいおられるだろうか?
 いつも〔シーン〕とした空気で始まり、そんでもって〔シーン〕とした空気で終わるので、(つまりあまり反応がない。) それで、そんな事が気になって、・・昨日クラブが終わってから、担当職員の若い男の子に聴いてみた。
 すると返って来た答えは「話を理解されているのは5人から10人ぐらいでしょうか。認知症の方が多くなられまして・・」ということであった。
 つまり〔3分の2〕以上の方は、僕が何を言っているかわからないままに、その場に座っておられることになる。
 ・・が、この男性職員の話はまだ続き、「・・話の中身はわからないだろうけど、《静かにしていなければいけない》という場の雰囲気は解っておられると思いますよ」ということであった。
 それは、いつもの自分の居住空間で過ごしている雰囲気とは明らかに違っていて、各自が独自の《緊張モード》に入っているように見えるからだそうだ。
 この《講話クラブ》は(ひとつのパフォーマンスとして)僧侶の姿で〔お話〕をするので、皆さん〔頭の回線〕が『坊さんの前では静かにしてなあかん』回路に繋がるのかもしれない。
 この男性職員は、次のように言って話をまとめてくれた。「講話クラブは《静》を味わうクラブ。そして音楽クラブは《動》を味わうクラブだと思います。・・どちらも入居者の皆さんにとって《人間らしく生活する上で》とても大切なことだと思います」と。
 講話に対しての反応を求めるより、ただその場に毎月僕は《存在する》だけで意味があるのかもしれないと思った。 

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