住職のつぼやき[管理用]

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僕が僧侶になった理由(わけ)

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僕は酒屋の長男として生まれた(写真参照 《在りし日の宮本酒店》)。
店は僕で三代目。当然の如く、小さい頃は自分も大きくなったら、酒屋をやるものだと思っていた。しかし、いつの頃からか、宗教に興味を持ち、学校も仏教の大学を選んだ。
大学卒業後は、跡取りとして店を手伝い始めたが、心はどうしても満たされず、神や仏、そして精神的なものに向いていた。
ちょうどそんな時、私の家にお経をあげに来てくださっていたお寺の御住職が腰痛の為にお参りができなくなってしまわれた。御住職にはご子息がおられたが、まだ学生さんだったので、誰か近くで手伝ってくれる人を探しておられるとの話を耳にした。
この話が、その時、自分の心の中の闇を照らす一筋の光明のように思え、早速お手伝いを申し出た。
午前中は衣を着て『檀家さん宅へのお参り』、そして午後からは前掛けをして『お酒の配達』という、二束のワラジを履く生活が始まった。
しかしその後、店の仕事がおろそかになり始め、父が怒り出し「商売をするのか、僧侶でいくのか、はっきりしろ!」と最終通告を出した。悩んだ末、私の恩師に相談にいくと、師は次のように言われた。「人間というものはいつか必ず死ぬ。それがいつかはわからぬが、その臨終の時に『この仕事を選んで良かった』と思える道をゆきなさい。君はどっちが後悔しないかな」と。
僕はこの一言で僧侶の道を選んだのです。

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