住職のつぼやき[管理用]

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紙芝居:「実録 稲むらの火 (津波編)」 後編

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(浜口梧陵(ごりょう))「みんな、急げ!急げ!」
(村人)「梧陵のだんなぁ!松明(たいまつ)持って、いったい何をされるんですかい?」
(梧陵)「稲の束、つまり〔稲むら〕に火をつけるんだ!」
(村人)「えっえっえっ?!」
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(梧陵)「よいか、〔稲むら〕は大切な肥料じゃ。・・しかし、人の命の方がもっと大切じゃ!
 この火は、津波で沖に流された者に、この高台を示し、陸地を示す《命の火》なのじゃ!
 さぁみんな、〔稲むら〕に火をつけよ!」
 そして、燃え上がる〔稲むら〕に梧陵は祈りました。
「どうか、どうか、海で彷徨う者が居るならば、この炎を見つけてくれ!
 そして何とかして、ここを目指して帰って来ておくれ!」と。
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 一方、海に流され、どちらが陸地か解らず、暗闇の中を呆然と彷徨う者たちが、やはり居りました。
 そして彼等は、この炎を見つけ叫んだのでした。
「おおっ、火だ!・・あちらが陸地だ。あの火を目指せば陸地に戻れるぞ!・・みんなっ、何とかして、あそこを目指そうぞ。そうすればわし等は助かるぞ!」と。
 こうして、結果的に九人の村人が助かったと伝わっております。
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 さて、助かった村人たちは、次の日、梧陵を囲みお礼を言いました。
(村人)「旦那さま、ありがとうごぜえました。おかげで、命拾いいたしました。
 あの〔稲むらの火〕は、わし等の《命を救う炎》でございました。
 この御恩は一生、忘れません!」と。
 それに対し、浜口梧陵は、
「うん、大地震の後には、必ず津波が来るという言い伝えがあるんじゃ。
 これは、ご先祖様のおかげじゃな・・。
 さぁ、それよりみんな、今からが大変じゃぞ。この村を復興させねばならんからのぉ。みんな、さぁ頑張ろうぞ!『頑張ろう!日本!』」・・と、この時、梧陵が言ったかどうだか?・・が、今の日本と同じような気持ちであったには、違いありません。
 『稲むらの火(復興編)』につづく・・。 おしまい
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 上の写真は、現在の和歌山県有田郡広川町にある『浜口梧陵』のお墓である。
 僕が、この地を訪ねたのは、昨年(平成22年)の夏の終わりであった。
 この時は、観光客も居らず、静かな静かな漁村であった。
 僕は、この町の『(稲むらの火の3D映画が見れる)浜口梧陵記念館』=(大きな映画館であったが、僕しか映画を見る者がおらず、その迫力に圧倒されちょっと恐かった)や、写真の『浜口梧陵のお墓』、又「紙芝居」でも登場した、実際に避難した『広八幡神社』、そしてこの紙芝居の(復興編)に登場する『広村堤防』などを見学させてもらって来た。
 ・・又、余談ながら、のち『浜口梧陵』の会社となった〔ヤマサ醤油株式会社〕の(「ここでしか買えない」と宣伝されてた)『特選醤油』)と、『稲むらの火ハンカチ』を、お土産に買って帰って来た。 
 今から思うと、この時は、取材と言いながら、のんびりとした楽しい時間を、この地で過ごさせてもらったのだが、・・これから、この地は、《防災教育の場》として全国から注目され、子供から大人まで、お客さんで一杯になるに違いないと思っている。
 最後に、なぜこの「紙芝居」のタイトルに『実録』と付けたかというと、・・それは、昔、尋常小学校の国語読本(昭和12年から21年まで)に、この『稲むら火』というお話が教材として用いられた。・・が、それはあくまでも、フィクションとして書かれたもので、この物語の主人公『浜口梧陵』も、「五兵衛」という名で登場している。
 又、実際には、この災害時の『梧陵』の年齢は35歳なのであるが(若い!)、小説では年老いた老人として登場している。
 又、実際の梧陵の住居は〔平地〕にあったのだが、小説では〔高台〕になっている。
 つまり、あちこち、フィクションが入っているので、僕としてはなるべく史実に即して紙芝居を作りたかったのだ。
 だから、『実録』と付けさせて頂いた。
 又、小泉八雲こと、ラスカディオ・ハーンもこの題材を元にして『生き神さま』という小説チックな物を書いている。
 ・・いかん、まだまだ書きたい事が一杯あるのだが、書いてたら日が暮れてしまうので、今日のところは、このへんにしといたる!
 それでは、『稲むらの火(復興編)』につづく・・。
 

コメント一覧

愛子 URL 2011年08月01日(月)17時54分 編集・削除

小泉八雲・・・・

う~~ん。
耳なし芳一の人ですね・・・

長男が好きな人です。

そやけど、そやけど、
このタイムリーなお話はやっぱり何度読んでも
ぞ~~っとします。

予知能力有るんですか??www

カンネン亭 2011年08月01日(月)21時54分 編集・削除

愛子さん

小泉八雲(ラスクウマイデ・オカーン、ちゃうちゃう、ラスカデイオ・ハーン)ほど、日本人らしい日本人はいません。強さも弱さも大好きな作家です。

 ちなみに、予知能力はありませんが、幼稚能力なら・・。バブー。だれが、いくらちゃんやねん。

愛子 URL 2011年08月03日(水)02時35分 編集・削除

わはは。
上手いっ!

ちなみに、シュールな長男が言うてました。

ラフカディオ・ハーンやで・・・・と。

ラフやで、ラフ。

わたしゃ~~、ウル覚えやので
あ~そうなんや・・・と
つたない返事しか出来ませんでしたけど。

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