住職のつぼやき[管理用]

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紙芝居:「地獄のはなし」 その1

 今日から、何回かに分けて「地獄めぐり」の紙芝居を見て頂きたいと思う。
・・以前、「地獄」という世界を、『往生要集』という書物をお手本にして、『紙芝居』化してみたのだが、今回はその『往生要集』にさらにプラス、『よみがえり草紙』という古書と、上方落語『地獄八景亡者戯(じごくはっけい・もうじゃのたわむれ)』、そして『矢田地蔵縁起』をミックスしアレンジして、もう一度作ってみようと試みたのだ。(僕はこんな話が好きなんです・・。)
 又、この物語には、《姉妹品》「極楽のはなし」という別の「紙芝居」があって、この「地獄のはなし」にリンクしてゆくのだが、それは又、別のお話。・・取りあえず、「地獄」編からどうぞ・・。
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 昔々、奈良の都に、大きな油問屋が一件あった。
 そこの主を〔大和屋:悪兵衛〕と云った。
 悪兵衛は、大金持ちで、ケチで、意地悪であった。
 或る日のこと・・。
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 悪兵衛が、いつものように晩御飯を食べていると、おかずの芋のにっころがしが喉にひっかかってしまった。
「う~っ、苦ひい~・・」
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「旦那さまー、大丈夫ですか?!」と、店の手代は皆驚いて、悪兵衛の背中を叩いたり、こすったりしたが・・、結局、そのまま悪兵衛は気を失ってしまった。
 「あぁ~、わしはこのまま死んでしまうのか~」と、薄れてゆく意識の中で、悪兵衛はそうつぶやいた。
ファイル 585-4.jpg
 気がつくと、悪兵衛は真っ暗な世界に、ひとりポツンと立っていた。
 そこへ、猛スピードで、一匹の鬼が《車》を引いて現れた。
「悪兵衛!お前を迎えに来た。今からお前を《閻魔大王》の元につれてゆく!・・お前は死んだのだ!」とその鬼は言って、無理やり、悪兵衛を車の中に押し込んだ。 すると、その車は〔火の車〕となり、燃え上がりながら、又走り出したのだった。
「あっちっちっ、あっちっー、わしは郷ひろみじゃないー!」と悪兵衛は、窓から叫びながら、〔火車〕は、暗闇の底へと、真っ直ぐに突っ走って行ったのだった。
 つづく
 

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