住職のつぼやき[管理用]

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I家、最後の「地蔵盆」と、「紙芝居法話」

 うちの檀家さんに、Iさんという方が居られ、そのお家の前に、小さな〔お地蔵さん〕が一体建っている。
 僕は毎年、〔地蔵盆〕の頃には、そのお地蔵さんにお参りをさせて頂いているのだが、昨日は、その〔地蔵盆法要〕最後の特別な日になった。
 実はこの〔お地蔵さん〕、今から50年前に、Iさんのご子息さんが、ご自宅前で〔交通事故〕で亡くなられ、それを機縁に、ご主人が作られ祀られたものなのである。
 その〔お地蔵さん〕も、今年で50年、50歳、50回忌。・・人間でいえば、お祀りの切上げの年に当たる。 
 ご主人、奥さんがおっしゃるのに、
「自分たちも歳を取りました。これから子や孫たちに、引き続いて、この〔お地蔵さん〕を守っていってもらうのも大変やろうと思い、今年の「地蔵盆」を最後に、自分たちの先祖のお墓の横に、移ってもらおうか思っているんですわ・・。」と、言われたのだ。
 そして、「院主さん、今年で最後やから、近所の子供たちや、その親御さんに声を掛けますんで、そこで一席、例の「紙芝居法話」をしてもらえんやろか?賑やかに〔閉めの会〕をしたいんで」と続けられた。
 「寂しいですが、喜んで・・。」と僕は引き受け、当日に至った。
そして、「20名ぐらい、集まってくれたら嬉しいのやけど・・」と、おっしゃっていたのに、蓋を開けたら、老若男女、子供たち、30名以上も、集まってくださり、皆で〔お地蔵さん〕にお参りをして、その後、Iさん宅に場所を移して、「紙芝居」をさせて頂いた。
 家中、人でごったがやして、とても賑やかな「紙芝居法話会」になったが、ご主人も奥さんも、「こんなに集まってくださると思わんかった!」と、涙ぐんでたいへん喜んでおられた。
 僕も終ってからご主人に、「きっと、亡くなられた子供さんが、皆を集めてくださったんでよね。だって、もうお地蔵さんに変身して、皆を守って下さっているんですから」と言ったら、ご主人は下を向いて、しきりに「うん、うん」と頷いておられたのであった。
 

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