住職のつぼやき[管理用]

記事一覧

※画像をクリックすると拡大されます。

お葬式をしなかった後悔

 或る会に出前に行った時のこと・・。
そこでひとつの質問を受けた。それは『お葬式をしなかった後悔』についてのことで、今自分の心の整理をどうつけたら良いか、わからないという内容の質問であった。
 この年配の女性は昨年にご主人を亡くされたそうだ。
その時、ご主人の遺言もあり、ご遺体は死後すぐに大学病院に献体された。そしてその後ご遺体は家に帰ることなく、「葬式はしなくてよい」というこれも遺言のままに受け、そのまま火葬場に行きお骨となり、大きな京都のお寺に納骨されたそうだ。ゆえに家の中には何もおまつりするものはない。
 それから一年が経った今、ご主人を亡くしたという気持ちの整理がつかないらしい。
・・毎日の散歩の途中に一件のお寺があり、そこに入ってご供養を頼もうかと思うのだが、今さら遅いような気もして迷っておられるそうだ。又お骨を収めているお寺にも行きかねてるらしい・・。
僕は言った。「今からでも遅くないので、ご縁なんで、その近くのお寺に入って和尚さんにお経の一つでもあげてもらったらどうですか。それで何か変わるかそれはわからんけど、奥さんがそんなに気になるなら、今からでも遅くないじゃないですか。勇気を出してお寺に入って事情を説明してみては・・。又、親戚の人にも言って一緒にお勤めしてはどうですか?お骨の収まってるお寺でも良いから・・。気持ちの整理が少しつくのでは・・」と言った。・・・が、まだ迷っておられるようであった。
 その後、この女性はどうされたかはわからない。・・が、この質問によって僕は考えさせられた。そして思った。芸能人のようなド派手なお葬式はしなくて良いと思うが、やはり残った遺族の為にも《お葬式》という儀式は必要なのではないかと・・・。

上に戻る