住職のつぼやき[管理用]

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不思議なふしぎな『三尺三寸(さんじゃくさんずん)のお箸』

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「あんたが一番多く何度も演じてる『紙芝居』は何ですか?」と聞かれたら、おそらく僕はこの紙芝居をあげると思う。・・それほどこの作品には僕の思い入れがある。《仏教もの33》
 さてこの紙芝居は横長ブック型の紙芝居で、付録として実際の長さ(三尺三寸・約1メートル)のお箸も持っていき、法話に取り入れながら演じている。《写真参照》
 実はこの作品、〔仏教説話〕といいながらはっきりとした出所の経典名はわかっていない。(僕が知りうる限りであるが・・) だからこのお話が本当に仏教から発生したものなのかは未だ不明なのだ。でもそんな事より、この話の内容が実に仏教的である処に僕はひかれ演じるのである。
《あらすじ》
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 昔ある所に一人の信心深い若者が住んで居た。この若者は一度で良いから〔地獄〕と〔極楽〕が見たいと思っていた。
・・ある晩、仏様がこの男の夢の中に現れ、地獄と極楽につれていってくれる事になった。
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・・さぁ、まずは地獄に着いた。そして仏様は地獄の食堂に男を案内した。そこにはすでに地獄の住人達が席に着いていた。各自お箸を持ち、目の前のご馳走を争って食べようとしたその次の瞬間、なんと不思議なことにニョキニョキっとお箸は長さ三尺三寸に伸びた!それによって地獄では誰一人まともに食事ができなくなり、皆泣く泣く食堂を後にした。
・・次に仏様は男を極楽につれて行きやはり食堂へと案内した。食堂ではすでに皆が合掌をして食事を取ろうとしていた。・・が、やはりここでもお箸が長さ三尺三寸に伸びてしまった。・・さぁ、どうなるかと思った次の瞬間、なんと極楽ではそのお箸で、目の前の人に食べさせ始めたではないか。
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こうして極楽の住人達は皆がお腹一杯食べ、満足そうに食堂を後にしたのであった。
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・・それを見て男は悟った!〔自分さえ良ければいい〕と思う世界の地獄は結局、誰も幸せになれない。・・反対に〔人のことを思いやる〕世界の極楽は遠回りのように見えて、唯一皆が幸せになれるの道なのだと・・。おしまい

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