住職のつぼやき

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紙芝居:『王舎城の悲劇』 ~その4

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「おシャカ様!、私は今まで、あなた様の教えなど、耳も貸しませんでした。・・ですが、今、大変後悔をしております。・・どうか、こんな私ですが、お姿を御見せ下さい!私の心をお救い下さい!」と、イダイケ后は、必死で願いました。
 すると、不思議は起こり、月明かりにおシャカ様が現れたのでした。
 「・・有難うございます。おシャカ様、私は今、地獄の中におります。子が親を殺すという地獄を見てしまったのです。・・救いの世界など、この世に本当にあるのでしょうか? どうかお教え下さい!」
 その必死の訴えに、おシャカ様はこう言われました。「わかった。・・イダイケよ、では、今からお前に『極楽浄土』という世界を見せてやろう。」と、言うや否や、おシャカ様の眉間から金色の光が放たれ、イダイケ后を優しく包みました。
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「イダイケよ、ここが、阿弥陀仏という御方がお作りになった『極楽浄土』という素晴らしき世界じゃ。・・この世は決して地獄だけではない。このような清らか世界もあるのじゃ」と、おシャカ様は、『極楽浄土』へ行く方法を詳しくイダイケ后にお教えになりました。 (註:この極楽浄土に行く為の具体的な方法が、多くの枚数を取って『観無量寿経』には書かれてある・・しかし、それは又別のお話。ここではドラマ性を中心に進めていきたいのでカットする)
 こうして、イダイケ后は、牢獄の中で始めて《安らぎ》を感じたのでした。
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 さて、一方、アジャセ王子はというと、毎日『父親殺し』という罪におののき、毎晩眠れぬ日々が続き、ついに床についてしまいました。
「あ~っ苦しい・・。誰かこの苦しみを取り除いてくれ!」と・・。
 頼みのダイバダッタも、今は姿を消し、どこかで死んだとの噂が聞こえてきたのでした。
 見るに見かねた家来達は、成すすべもなく、牢獄の中のイダイケ后に、アジャセ王子の看病を頼みました。
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 イダイケ后は、弱った身体ではありましたが、アジャセ王子の看病を昼夜を問わず、一生懸命にされました。
 その甲斐あって、アジャセ王子の身体は、助々に快方へと向いました。
「・・母上、申し訳ございません。私が間違っておりました。私はなんと罪深い事をしてしまったのか・・。どうかお許し下さい」と、アジャセ王子はイダイケ后に言いました。
 すると后は静かに言いました。「アジャセ、そのような気持ちが湧いたのなら、是非、おシャカ様の元に参りましょう。おシャカ様におすがりし、是非にお話をお聴きしましょう」と・・。
 そして、やがて、病の癒えたアジャセ王子とイダイケ后は、ご一緒に、おシャカ様の元に向われました。
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「おシャカ様、私が愚かゆえ、世にも恐ろしい大罪を犯してしまいました」と、懺悔するアジャセ王子に、おシャカ様は静かに言われました。
「ようやく目が覚められましたか。・・お父上は、自ら犯した過去の過ちを反省し、これから苦しむ事になる、そなたの罪を少しでも軽くしようと、自ら命を絶たれたのですよ。・・なんと、子を思う深き愛情であろうか。これが本当の親というものなのですよ。そなたも、こののち、父を弔い、父のように懺悔する気持ちを常に持つ事。それによって、そなたの心も救われるでしょう。わかりましたかな」と。
 「はい、よく解りました。有難うございます。これから、どうか私達を正しくお導き下さいませ」と、アジャセ王子とイダイケ后は合掌され、深く頭を下げられました。
 こうしてお二人は、こののち、おシャカ様に深く帰依し、生き抜かれたという事です。
 おしまい
 

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