その後、意識を取り戻した北斎は、娘につぶやきました。
「おっお栄、腕が上がらねぇ‥。筆も上手く持てねぇ‥。力が入らないんだ。あぁ、俺はこのまま絵が描けなくなるのか!?ちくしょう!死んでも死にきれねえぜ!」
と苦しみ悩みました。
それは脳卒中の後遺症なのでした。
そんなある日、『葛飾北斎、脳卒中!』の噂を聞いた古い友人が訪ねて来ました。(一説では、それは滝沢馬琴ではなかろうか?と言われています。知らんけど)
「おい、北斎。中風に効くという薬の作り方を聞いたので、紙に書いて持って来てやったぜ。これを調合して飲んでみろ。‥いいかよく聞け。
①まず、果物のゆずを用意しろ。それを細かく木のヘラで刻む。
②次に、それと酒一合を混ぜてよく煮詰める。その時大事なことは、鉄鍋で煮てはダメってことだ。必ず土鍋で煮る事。鉄分が入っちゃダメなんだ。
③それと煮たゆずと白湯を混ぜて飲む。
それを毎日飲む事。効くらしいぞ。やってみろ。」と友人は言いました。
「それは本当か、効かなかったらただじゃおかねえぞ。」
と北斎は言って、その薬を毎日飲み始めました。
毎日毎日、北斎はその薬(?)を使って飲みました。
現代の医療では、それはヘスペリジンという柑橘系に多く含まれる栄養素で、それは高血圧を下げたり、末梢血管を強化する効果があると言われています。
まさに、北斎の病気には良く効いたのでした。(これも、知らんけど)
※余談ですが、脳卒中(脳出血)で、北斎と同じ症状になった私も、この実験をやってみました。‥効いたのかなぁ‥。馬琴に感謝!それこそ知らんけど。 つづく
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