「頭が痛えっ‥。どうも最近、よく頭が痛くなるんだ‥。」
「親父どの、働き過ぎなんだよ。私が代わりに描いとくからさぁ‥。休んどきなって‥。』
と、跡取り娘のお栄が言った次の瞬間、
「あぁっ‥、めまいがするぜ、お栄‥」
と言って、そのまま北斎は倒れたのでした。
「親父どの!しっかりおしよ。今、医者を呼んでくるからな!」
北斎の病気は中風(ちゅうふう)、今でいう脳卒中でした。
医者は娘のお栄に言いました。
「これは中風です。命に別状は今の所ありませんが、意識は戻っても、手足が動きにくくなるかもしれません。‥今は安静にして下さい。」
「親父どのっ!大変な事になっちまったな。もう絵は描けなくなるかもしれないよ。』
つづく
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