住職のつぼやき[管理用]

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筋ジストロフィー青年との会話記録 その4

 このブログを書くに当たり、今日の朝、久しぶりに故・N君宅に電話を掛けた。
 お母さんが電話に出られたので、「皆さん、お変わりございませんか?」とお聴きすると、「・・実は昨日が夫の四十九日(満中陰)でして・・、」と言われたので、びっくりしてしまった。
 僕はまったく知らなかった!
 死因は〔脳梗塞〕だったそうだ。
 「長男が亡くなり、次男のMっちゃん(=N君)が亡くなり、夫が亡くなり、ついに私は一人ぼっちになってしまいました。これから私も何か生きがいを見つけないと・・」と寂しそうに言われた。
 僕は、N君との思い出話をしばらくお母さんとしながら、不思議なことだと思った。
 ひょっとしたら、このブログを書こうと思ったのは、お浄土からのN君親子の依頼だったのかもしれない・・。

平成8年4月14日の記録
 今日、T病院で初めてN君のお父さんと会う。(お母さんとは、一回目に出逢っている)
 お父さんについては、N君から色々と情報を聞いて知っていた。
 N君は、自分のお父さんがあまり好きではない・・らしい。
 ワンマンな性格で、いつも会えばケンカになるらしく、間に立つお母さんが大変らしい。
 しかし、今日、僕が見るに、結構二人は仲良く喋っていたように思えるが・・。

平成8年5月14日の記録
 今日行くと、お母さんが来ておられ開口一番、僕に「エエ時に来て下さった。Mっちゃん、雨の日が続いて落ち込んでいたんですわ」と言われた。
 M君の病気が、天候に左右されるのかどうかは知らないが、今日は良いタイミングだったらしい。
 いつもと違って彼の方から色々と話掛けてきた。たとえば、「結婚しているのですか?」とか、「子供さんはいますか?」とか、「なぜ、お坊さんになろうと思ったのですか?」などと次々と聞いてきたのだ。
 ひょっとしたら、誰でも良いから、無償にお喋りがしたかったのかもしれない・・。
 そんな問いに答えていたら、担当医の先生が来られ、僕に向かって「あなたは誰ですか?」と聞いてこられた。
 お母さんが、その答えに困り「・・ボランティアさんです」と言ったので、僕は「そんな大層なもんと違うよな。ただの友達やな」と言ったら、N君もすかさず「そうや、友達や」と言ってくれた。
 何気ない会話であったが、友達と認めてくれた様で嬉しかった。
 つづく

 
 
 

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