住職のつぼやき[管理用]

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『坊主が屏風に坊主の絵を書いた屏風』の話 その1

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出前に行かせていただく老人ホームや病院など、多くの場合『仏間(ぶつま)《仏壇のあるお部屋》』がない。
ゆえに、施設苑内で「法話会」を開き、お話をさせていただく場は、たいてい食堂や多目的ホールになる。
・・である為、『お寺の出前』と言いながら、なかなかお寺の雰囲気が出せない。(僧侶の着物姿でお話はするのだが・・)
それで・・、「それはそれで仕方がない」と思っていた或る日、施設内で仲良くなった一人のお年寄りの女性から、ホールで法話会が終わった後、「ホンマにここに来て、お話を聞かせてもろたら、お寺の居るような感じがします」と言われた。もちろん、それは僕へのリップサービスであろう。・・とわかってはいるけど嬉しかった。そして、「この場をもっとお寺らしい雰囲気にしたい・・。その為には御本尊となる仏像を置きたいな」と思った。
が・・、施設に仏像を持って来るのはご法度だった。それは「他の新興宗教の入所者の方からクレームがつく」と職員さんから言われたからだ。
それで考え作り出したのが、《写真》の屏風である。これは『絵像屏風』と言い、別名『坊主(僕)が屏風に坊主の絵を書いた屏風』という(笑)。ちなみに「じょうずに」は入っていないからあしからず。さて、この屏風は折りたたみ式で広げれば畳三畳ぐらいの大きさがある。真ん中がご本尊の《仏様》で、手から鈴付きの五色の紐が伸びるようになっている。これは、寝たきりの方の所へ持って行った時、「今、仏様とつながっていますよ」と言いながら、この紐を握ってもらいお話する為の装置である。・・そして《ご本尊》の回りには平安・鎌倉時代の宗派を作られた祖師方「親鸞様」「法然様」「日蓮様」「空海様」方などを、だいたい?オールスターキャストで似顔絵を描かせていただいた。そして、この屏風を『出前』の本尊とし、現在も講演には必ずこれを持って行き、日夜《お寺もどき》の雰囲気作りに励んでいるのである。ちなみに、これを見た新興宗教の方々からの苦情は未だない・・。めでたし、めでたし。

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