住職のつぼやき[管理用]

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紙芝居:「策伝さんの『醒睡笑(せいすいしょう)』」(その3)

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そこで、丁稚の定吉どんは、手紙の[宛名]を、人に聞く事にした。
 「あの~ごりょんはん、すんません。ちょっとお尋ねしますが、この宛名、何て書いてありますの?」
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「へぇ、・・この上の字は『たいら』。下の字は『はやし』やね。つまり、この名は『たいらばやし』どすわ。
 ・・でも、間違うとったらあかんので、あそこの御隠居さんに聞いてみなはれ。」

 「へーい、おおきに。・・あの御隠居さんやな。
 あのー、この宛名は何と読みますんやろ?」

「何々、ふむふむ。・・この上の字は『ひら』やな。下の字は『りん』と読むんやな。・・つまり、この宛名は『ひらりん』さんや。」

 「へーい、おおきに。・・何や『ひらりん』さんか⁈・・あっ、あそこにもう一人御隠居さんが居てはる。聞いてみよ。・・すんまへん、この宛名、何と読みますんやろ?」
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「ふむふむ、・・これは『ひらりん』と読むのではない。
 分解するのや。
 ええか、上から『いち』、『はち』、『じゅう』と読む。
 下は木が二つで『もく・もく』や。
 つまり、『いち、はち、じゅう、の、もくもく』さんやな。わかったか?」

 「へーい、おおきに。・・なんや、ややこしなってきたな。・・もう、ついでや、あの御隠居さんにも聞いてみよ。あの~、この宛名、何と読みますんやろ?」

「・・これはな、『いち』と読んではいけません。『ひとつ』と読むんやな。つまり、『ひとつ』と『やっつ』で『とお』と読み、下の字は『きっき』と読むんやな。わかりましたか。」

 「へ~い、有難うさんです。ところで、その『ひとつとやっつで、とおきっき』さんの家を知りまへんか?」

「そんな、家。聞いたことないなぁ。・・それ日本人か?」

「へぇ・・?」  つづく

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