余談になりますが、宇右衛門さんは、奥さんとは縁が薄かったようです。
生涯、三度結婚されていて、その内、二人とは早くに死に別れ、一人とは離縁されたようです。(いろいろ事情があったのですね・・)
子供さんは何人か居られたようです。
そして、現在も子孫の方は、浄因寺さまの近くの立派なお家に暮らして居られます。(浄因寺さまにご案内して頂きました)
さて、ストーリーに戻りましょう・・。
立派な妙好人となられた宇右衛門さん、歳月は流れ、今では子や孫と暮らすと信心の篤いおじいちゃんになっておりました。
・・しかしです。
息子の嫁は、たいへん気性が激しく、何かと言えばすぐに仏様の話をする舅の宇右衛門が、うっとうしくてたまりませんでした。
今日も今日とて、皆で畑仕事をしている時、嫁の横着な仕事の在り様を見て、宇右衛門さんが注意しました。
すると突然、その言葉にカッときた嫁が、手に持った[木槌]を宇右衛門さんに投げつけたのでした。
木槌は、宇右衛門さんの頭に見事に(あかん、あかん)命中!
血を吹いて、宇右衛門さんは倒れました。(あぁ、バイオレンスやなぁ・・)
それを見ていた息子はびっくり!
「お前、何ちゅう事をするんじゃ!・・おっとう、大丈夫かえ?」と、宇右衛門さんを介抱すると、嫁の首根っこを捕まえて「お前とは離縁じゃ!」と叫びました。
その時、宇右衛門さんが・・、
「息子や、このおやじが悪いんじゃ。地獄一定の愚痴、浅ましい心のわしが叱ってしもうた。・・これは、まったくわしが悪い。嫁を許しておくれや。南無阿弥陀仏」と謝りました。
自分の仕出かした事の大きさに、恐れおののく嫁でしたが、この時、初めて義父の心の広さを知りました。
「お義父さん、本当に申し訳ありせんでした。私は鬼でした。どうか、どうか許してください。」と謝りました。
「いやいや、鬼の心を持つのはこのわしじゃ・・」と宇右衛門さん。
こうして、(バイオレンス親子)嫁と舅の心は一つになりました。
(浄因寺境内に建つ宇右衛門銅像)
つづく
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