今、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の短編『常識』の紙芝居を作っている。
こんな話だ。ストーリーを先にばらす。
昔、京の愛宕山の小さなお寺に、一人の超超真面目な[修行僧]がいた。
ある日そのお寺に、しりあいの[猟師]が訪ねて来る。
修行僧は、猟師に言う。
(以後、関西弁で・・)
「なぁ、なぁ、猟師はん。俺って、ごっつい真面目やんか。読経も座禅もさぼった事ないやんか。ほんで、仏様がちゃんと見てくれてたんやな~。この頃、毎晩、ゾウに乗って仏が俺の前に現れるねんで。・・なぁなぁ、お前も見たいやろ。俺の弟子の小僧にも見えるねんから、お前もきっとお姿を拝ませてもらえんで。」
「ほんまかいな⁉ラッキー!」と、疑心暗鬼ながら猟師は答えた。
そんで、その日の晩に、お寺の門の前で、修行僧と弟子の小僧と猟師は正座して待って居った。
すると遥か彼方より、白い霧が現われ、ゾウに乗った仏様が輝きながら現れた。
修行僧と弟子は『ありがたや、ありがたや~』と念仏を称えた。
その時である。
猟師は突然スッと立ち上がり、弓矢を弾き絞り、仏に向けて放った。
矢は仏に命中し、すべては消えてしまった。
「おおっお前、何ちゅうことすんねん!この罰当たりが!」と修行僧はすごい剣幕である。
すると、猟師は平然として、「まぁ、そんなに怒りないなぁ。あのな、[常識]で考えてみいや。
和尚さんは、ごっつい修行してるから、仏さまがお姿を現されるのは解る。・・しかし、なんで、修行もまだ出来てない弟子の小僧も、仏が見えるねんなぁ。又、信心もない、お経の文字も読めんワテまで、仏が見えるねん。おかしいやろ?。・・あれは、きっと魔物やで。チャンスがあったら、お前等を食おうしていた化けもんやで。・・嘘やと思うんやったら、明日の朝、調べてみようやないけ?」と言った。
そして次の日、三人は弓矢を放ったところにあった血の痕を発見。
後を追っていくと、洞穴の前に、弓矢が刺さった大きなタヌキの化け物の死骸を発見したという。
教訓。
真面目でまっすぐな修行僧は、化け物に簡単に騙された。
が、『常識』を身につけていた学問の無い猟師は、決して騙されなかった。
真面目すぎるのは、あかん!クールな目も必要だっせ!
皆さんもうまい話、けったいなおかげ話に騙されないように・・。『これがニッポンの常識です!』(ザ・パンダの古いギャグでした)合掌
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