住職のつぼやき[管理用]

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「スイッチ、スイッチ⁉」

 「あっ、今日は[月参り]の日でしてんねぇ⁉すっかり忘れてました。」と、一人暮らしのおばあちゃんの家へお参りに行ったら、この言葉からこの日のパニックが始まった。
 「仏壇に何の用意もしておませんわ⁉」と言われ、おたおたと部屋中を歩き回られ始める。
 僕は「いや、良いですよ。後ろで座っていて下さいな。」と言って仏間に入ったが真っ暗だ。
 「スイッチ、スイッチ」と、ブツブツ言われるおばあちゃん。
 部屋の明かりを新しく変えられたようで、リモコンスイッチが無いのだ。それで明かりが付けられないようだ。(一昔前なら、ひもさえ引っ張れば明かりは付いたのだが)
 曲がった腰で、「スイッチ、スイッチ」と言いながら、台所や洗面所まで、一生懸命スイッチを探し回られたが、こんな時に限って見つからない。
 僕は「ロウソクの明かりがあるから、読経できますんで、かまいませんよ。」と言っているが、今度はトイレか、裏庭まで探しに行かれたようで、聞こえていないようだ。
 僕はもう待ってられず、暗闇の中、一人で読経し始める。
 ・・そして10分ほど経った時、「あっ、あった!」と言う声と、「院主さん、ありました。ソファーの上にありました!」と、読経中の僕に興奮して、話掛けて来られる。
 僕は読経を一度止め、「良かったですね」と言って、又読経し始めたのだが、しかし、なかなか電灯はつかない。
 「・・これ、ドコ押すんやったかいなぁ」と独り言風に、僕に助けを求められたが、もうちょっとで読経が終わる僕は(悪かったが)無視して、最後までお勤めし、今日の暗闇の中のお勤めは無事終わったのであった。
リモコンスイッチ、見つかって良かったですね。合掌
 

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