住職のつぼやき

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紙芝居:『火宅のたとえ』

ファイル 139-1.jpg 『法華経』より (仏教もの38)
 昔むかしのお話。
 ある時、おシャカ様は弟子達に向かって、こんなお話をなさいました・・。
 『ある国に、大金持ちの長者がいた。
 その長者は、大きな屋敷に住んでいた。
 ・・が、その出入り口の《門》は、非常に小さく、たった一つあるだけで、又、屋敷の壁も剥げ落ち、柱の土台は腐りかけていた。
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 そんなある時、屋敷が《火事》になった。
 しかし、長者の子供達は、そんな事も知らず、家の中で、平気で遊び回っていた。
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 長者は「大変だぞー!、子供たちー、火事だぞー!早く逃げ出すんだー!」と叫んだ。
 が、子供達は《遊び》に夢中で、長者の声は全く届かなかった。
 長者は思った。「あの子達は、火事の恐ろしさが、まだ解らないのだ。しかし、このままでは皆、焼け死んでしまう。私が中に入っても、全員を助け出す事はできない。いったいどうすれば良いのか・・」と。
 そして、長者は〔ピカッ〕と閃いた!
 「おーい、子供たちー、お前達の大好きな《車》が門の外にあるぞー!〔羊の車〕があるぞー、〔鹿の車〕があるぞー、〔牛の車〕もあるぞー!早く来ないと《車》が行ってしまうぞー!」と叫んだ。
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その声を聞いて、「わーい、うれしいなぁ。早く行って《車》に乗ろう!」と、子供達は皆出てきた。
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 そして、全員無事に出て来た〔子供達〕を見て、長者はホッとし、「よーし、それでは、一番立派な《牛の車》にお前たちを乗せてやろう」と言って、色とりどりの花で飾られた、大変すばらしい《牛車》に皆乗せて、あちこちを回って楽しんだという・・』

 おシャカ様は、このお話をされた後、次のようにおっしゃられた。
 『弟子達よ、今の話は〔喩え話〕だ。それでは、意味を説明しよう。
 この話の《長者》とは、〔私〕のことだ。
 《子供たち》とは、〔みんな〕のことだ。
 そして、今にも壊れそうな《屋敷》とは、〔我々の住む社会〕のことだ。
 人は、この世は楽しく、安心だと思っているが、すぐに歳を取り身体は病んでしまう。それ程モロいものだ。そして《火事》とは、〔欲深く悪い心〕即ち《煩悩》を表す。この悪い心が、人を包み始めているにも関わらず、人間は一向に気がつかない。
 私が「心を改めよ!煩悩の火に包まれるぞ!」と叫んでも人はなかなか気がつかない。
 それほど《仏の世界を知る為の〔門〕》は狭いのだ。
 だから、私は〔羊・鹿・牛の車〕に喩えたように、さまざまな教えの方法を説き、人を〔門〕の外へ誘い出そうとするのだ。 
 ・・だが、〔門〕から一歩でも外へ出ることができたら、もう安心なのだ。
 そこには、人の想像を遥かに超えた素晴らしい《仏の悟りの世界》が待っているからだ。子供達がりっぱな〔車〕に乗れたように・・。
 弟子達よ、わかったかな、《仏法を学ぶ》ということは、〔燃え上がる我が家から出ることが出来る〕ということなのだ』と、そうおシャカ様はおっしゃられ、それを聴き、弟子達は深く頷かれたということです。おしまい

 

 

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