清九郎の家に泥棒が入ったのです。
泥棒は、寝たふりをしている清九郎に気づかず、金目の物を探しました。
・・が、何も無いので、土間から米俵を盗もうとしました。
それを見た清九郎は、がぱっと起き上がって、
「・・泥棒さん、そんな重い物は大変だろう。
明日、もう一遍来なせぇ。その米をお金に変えておいてあげるから。」と、言いました。
びっくりした泥棒でしたが、
「本当だな・・」と言って、何も盗らずに帰って行きました。
次の夜、(その間抜けなというべきか、)その泥棒は案の定、やって来ました。
(余談だが、これと似たようなエピソードが、この前観た映画『不思議な岬の物語』にあったなぁ・・。)
清九郎は「待ってましたぞ!」と言って、お金を揃え、その上、ささやかな御膳まで用意していました。
・・驚いた泥棒は、
「なぜ、ワシの為にそこまでするんじゃ。」と言うと、
清九郎は「前世で、ワシがお前に借りていた借金を、今、このように返す機会を、阿弥陀様から与えてもろたと思うと、ワシはうれしゅうて仕方がないんじゃ。」と言いました。
それを聞いた泥棒は、両手をついて、謝ったということです。 つづく
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